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不意打ち

昨夜ぼんやりNHKののど自慢全国グランプリをつけっぱなしにしていたら、秋田県かどこかの代表の81歳ぐらいのおじいさんが、「長崎の鐘」を歌った。紹介の字幕に「平和への祈りをこめて」と書いてあった。お母さんが好きな歌で、「戦争は絶対にだめ、平和を守らなくてはいけない」といつも言って、この歌を歌っていたのを自分も覚えたと、後のインタビューで言っていた。

白髪にメガネの老紳士で、スーツ姿もセンスがよくて品好く決まっていた。そして何より声量が豊かで歌声が美しく、いっさい何の危なげもケレン味もなく、昔ながらの藤山一郎風の最高の歌い方で、自然体なのに魂がこもっていた。私は「三丁目の夕日」が嫌いで、昭和なんて全然なつかしくもない。だが、その人のたたずまいと歌声には、いっさい媚びも新しさへの擦り寄りもない、昭和の美しさがみなぎっていた。

ちょうど、枕もとにいつも置きっぱなして、ちらちら読んでるコミックの「はだしのゲン」を昼間に読んでたばかりだったし、少しも古さを感じさせない、その人の歌声に合わせてベッドに寝転がって歌っていると、まるで亡くなった母もいっしょに歌っているような気がした。
 その人はグランプリではなかったが、二名の優秀賞の一人になった。決して特別枠とかサービスとかではない、正当な評価だったと思う。審査員のヒャダインさんの講評もとてもよかった。

まったくの不意打ちだったが、NHKは最高にいい仕事をしてくれたと感謝している。ここで見られる人はぜひ見てほしい。ログインもそんなに難しくはなかったし。

https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024022417966?playlist_id=015f3760-e630-408a-b885-a639739f0d74

庭の梅がだいぶ増えてきました。ま、うちのは、このくらいがピークなんだろうな。ささやかに満足です。

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カツジ猫