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何がそんなに。

◇私のベッドの足元には、田舎から持ってきた巨大なテレビがあって、それでいつもがんがん人殺しだの戦争だのの映画やドラマの映像を流してるけど、カツジ猫はなれっこになって、その前でいつもぐうぐう寝ています。

それが、一昨日「羊たちの沈黙」のDVDを見たら、最初の音楽から妙に緊張してびりびりして、ずっと何だか不快そうでした。
偶然かもしれないけど、やっぱりあの映画は名作で、音楽もそれなりに猫にでもわかる、まがまがしさがあるのかもしれません(笑)。
それにしても、うら若いジョディ・フォスターがかわいかった。この映画が公開されたとき、大学の恩師(中野三敏先生)が「絶対、君の気に入るぜ」と言って下さったのだけど、私はこの映画、嫌いではないまでも、そう好きってほどでもなかった。

多分、中野先生は女性が男性以上の活躍をするのが私のツボと思われたのかもしれないけど、でもあの映画のジョディ演じるクラリスは、勇敢で有能だけど、ガラス細工のようにはかなげでもろくて、まあジョディ・フォスター自身にどんな強靭でたくましい役をやらせても、どっか繊細で弱々しいとこがあるのが、好きな人にはたまらんのだろうけど私には妙に男性(女性である私もかも)の嗜虐性をあおるんじゃないかと思えるようなところさえある、あの雰囲気が見ててどうも落ちつかなかった。どっちかというと私は、ためらわず斧でがははと笑いながら敵をぶっ殺すような、そして反省なんかなーんにもしないで、その後ぐびぐび酒飲むよーな、強い女が好きなのよ。

まあ、中野先生は昔私が徹夜明けで論文書いた後、研究室にお邪魔して「もう疲れすぎて休む気力さえないから今から映画でも見に行きます」と言ったら、「そういう時は『コックと泥棒、その妻と愛人』って映画が今かかってるからぜひ見たらいい」と勧めてくれた人ですからねえ。言われた通り私はその足で見に行って、まあ、たしかにまったく寝ないではすみましたけどね。

◇昨日、田舎の実家から荷物を山ほど車に積んで夜の九時ごろ、こっちに着いて、待ちくたびれたカツジ猫がうみゃうみゃ金網の中から訴えるのも無視して、上の家の伽羅館に荷物を運びこみました。
車の座席の最後の一つに手をかけた時、手の甲にぽつっと冷たいものがあたり、「あれ?」と思いながら運び終わった数分後、天気予報通り雨が降り出したどころか、まっしろいヒョウかアラレかみたいなのがばらばらばら。いやー危ないとこでした。
田舎の家の蝋梅を、母のへやに持ってってやろうと枝を折って来たのだけど、水さしに入れたまま外において忘れてたのは大丈夫かな。今から行って見て来ます。

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カツジ猫