何がもう、めいるってさあ
集中講義がスタートした。台風の中の初日で欠席扱いにはしない旨を通知していたが、まあまあ晴れて、もともと少人数の授業だが出席率もまあまあ。こっちの体力が落ちて来ているのもあって、無理はしないで、ていねいな授業をしようと決めている。
そうしたら、それが変な方向に流れて(笑)、ついつい連絡用の掲示板で、しょうもない雑談をしそうになって困る。ついでに受講生が掲示板以外のこのサイトの記事を読んで、私の考えや趣味や意見を忖度しそうになったら、えらいことだ。意識してでも、自分でも気づかずにそうなるのも、どっちも恐い。思わず掲示板に次のような注意書きを書いてしまった。
「いたさかランド」の他の部分を見たら(見なくていいです)おわかりのように、私は政治でもその他でも、たいがい好き嫌いが激しく、自分の意見を持っています。しかし、くれぐれも、それに合わせたりしないで下さい。支持政党でも信仰でも好みでも、私とちがうからと言って不愉快になることは絶対にないので、反対意見でも何でもどんどん書いて下さい。意見や好みが同じ人ばかりなのは、居心地が悪いし不安です。ちがう考えを聞くたびに私は愉快に、元気になります。むしろ私に影響されず、信用し過ぎず、他の人のちがった意見もよく聞いて、批判や疑問を持ち続けて下さい。
うーん、どんだけ効果があるんだろ(笑)。
別の方面でも心配なのは、私がスポーツや芸能について、しょうもないこと書き散らすと、これがけっこうアスリートやタレントのファンサイトに紹介されちゃったりするんだよね。いやそれも別に全然かまわないんですけど、私は何でもごった煮にごちゃごちゃ書くもんで、政治だの思想だのについて、たいがい過激な意見も書いてて、それもいっしょに載っちゃったりする。
それもまあ別にいいんですけどね。同じタレントやアスリートのファンでも、いろんな思想や主義主張の方はおられるに決まってるので、そういう方は複雑な気分になられるだろうと申し訳ないわけです。
せめてお知らせしておきますと、私は上の学生への注意書きに書いたように、自分と意見や好みのちがう人がいる方が気持ちいいし、そういう人たちが何か一点で共感し一致するのが、また一段と楽しかったりするわけです。支持政党とひいきの推しが、まったくちがう人どうしが、一致する方で盛り上がるのなんて最高じゃないですか(私だけかな)。ルイ・アラゴンの「薔薇と木犀草」って、詩みたいに。(全文はこちら)
でもって、昨日は文化の日でした。憲法記念日と並んで、憲法公布の記念日らしい。
日本の選挙はまあともかくも、世界情勢はまったくとことん憂鬱で、第一もう、何が救いがないかって、悪の限りをつくしているとしか見えない、ロシアとイスラエルが、前の世界大戦で最も多くの死者が出て被害を受けて、多分最も戦争や侵略によって傷ついた国で、おそらく平和への希求も最も強かったはずの国なんだよね。それが、自分らがされたと同じかそれ以上のことを、他国に対して今やってるんだもの。いい例えじゃないだろうけど、いじめられっ子が殺人鬼になったのを目のあたりにしているようで、限りなく気がめいる。
特にイスラエルは、「もうあんな理不尽な蹂躙は絶対にされない」という決意のもとに、軍備も防衛も鉄壁みたいに強化したはずだ。女性も徴兵されるし、スパイ組織も強いようだし、ホロコーストへの批判は他国でも絶対許さない。原爆と大空襲で民間人を山ほど殺されながら「安らかに眠って下さい、あやまちはくり返しません」と死者の碑に刻んで、すべての軍備を放棄して平和憲法を作った日本とは対照的だなと、何となくずっと頭の中で比べていた。もちろん日本は敗戦国という立場のちがいはあるにせよ、築く未来、めざす未来と、そこへ進んで行く決意を、ついつい比較していた。
安易な結論も中間報告もつつしみたい。だが、今のイスラエルのていたらくを見ていると、めったに自国に満足したりほめたりしたくならない私でも、これはやはり、頼りなくても心細くてもガタガタでも、日本と平和憲法のめざした未来の方が現実的で、そちらに賭けてみたいという気になってくる。防衛を強化し、最強の国家を作って幸福を守ろうという努力が生み出すものは結局はイスラエルの歩んだ道につながるしかないかと、あらためて実感せずにはいられない。
ゆうべは、日本シリーズでホークスがめちゃ負けするのを見ながら、『線量計と奥の細道』を読み上げた。感想はまた明日にでも。いい本だった。
ホークスは結果こそ劇的すぎるが、別にエラーもしないし浮足立ってる風もないし、そこそこ打ちもするし、いつも通りの試合をしてるようでいて、思わぬ大量得点で負けてしまうから、見ていて不思議で、なかなかできるこっちゃないと妙に感心までした。まあ野球とはこんなものなんだろう。最後の回の攻撃が、周東、今宮、柳田という、それぞれチームを象徴するような三選手がそろって凡打で終了するのも何だか出来すぎた美しさ(ごめん)で、いやまあ怪我もしないで無事にシーズン終わってよかったと、ねぎらってしまう気分になった。
もちろん監督や選手の気分はそれどころではないだろうし、ファンだって同じだろうとそこはかとなく心配しながら、ついファンサイトをのぞいたら、ねぎらいや感謝のことばに混じって、選手会長の周東選手が世にも悲しそうな顔でたたずんでいる写真に「申し訳ないけど、可愛くて死にそうです」と書いているファンがおられて、申し訳ないが変に安心した。ファンというものは、けしからんけど、ありがたいものだと、あらためてつくづく思った。
今日も何かと忙しい。換気扇掃除の人が見えるし、趣味で書いてる小説「水の王子」の紙本も届く。これについてのお知らせも、またゆっくりと。