何とかしなくちゃ
なんかもう、ものすごい猛暑が続いている。私の新旧二軒の家は、一方がわりとゆるい作りで寒暖が激しく、もう一方の小さい方は密閉度が高く、冷暖房もかなり効く。でも、その小さい家でさえ、今日はエアコンを25度に設定していても、室内は30度だった。気温の神は狂ってる。
この夏の目的はとにかく生き延びることだと決めているから、何しろちゃんと寝て食べて、入浴と洗濯をして、猫にエサを草木に水をやって、あとはすべて涼しくなってからだとわりきっているのだが、その一、たったそれだけをしても、もうへとへとになる、その二、さすがにそれでは散らかった家や荒れ果てた庭の中でストレスが積もって行く、という二点でだんだん、行き詰まってる。昨日も何か探そうと、上の家の二階に行ったら、もう途中の部屋がどこまで行っても、未整理の紙や資料やがらくたばかりで、さすがにちょっと死にたくなった。
どこからでも何からでも、何か目に見える成果の出る仕事をプラスしないと、内部から腐ってばててしまいそうだ。猫のカツジも最近ちょっと元気がない。見た目はあいかわらずかわいい顔をしているが、そろそろこいつも年貢の収め時かもしれない。それはいいけど、今死なれたら、この暑い中、庭で墓穴を掘る元気なんかないから、涼しくなるまでこいつの亡骸を冷凍庫で保管しなくちゃいけない羽目になりかねない。あれこれ頭の痛いことだ。
石の間から伸びた朝顔は、久しぶりに青い花を一輪つけた。空の一部が落ちて来たようで朝から目が洗われる思いがする。

あいかわらずNHKも民放も、終戦や原爆の特別番組でなかなかいいのを流してくれるものだから、それをつい見てしまうのも時間を費やする一因だ。この前は「映像の世紀」だったか何かで、ヒトラーの終焉を見た。彼の暗殺計画が失敗した後、彼は誰も信じなくなり、降伏の余地がまったくなくなったという。当時のフィルムを精査すると、彼は耳のあたりを負傷し、パーキンソン病で手が震えていて、いろいろガタガタになってたらしい。何かを忠告や進言をするような部下は皆暗殺計画の件で死刑になってるし、もうとめる者もいなかったようだ。そんな人間に国や人間の運命が左右されていたというのは、何と恐ろしいことだろう。
子どものころ読んだ「アンネの日記」で、彼女がこの暗殺計画のニュースを聞いて、とても喜び、希望を持ったことが書いてあったのを思い出す。「とにかくこれは、ヒトラーの側近にもそういう人たちがいたということなのだ」というようなことを彼女は書いていた。
暗殺計画については少し前に映画があって、私も映画館で見たのだったよなあ。「ワルキューレ」だっけ、トム・クルーズががんばってたし、監督も私の好きなブライアン・シンガーだったのに、なぜかあまり印象に残っていない。これに限らずハリウッド映画の社会派ものは、良心的できちんと作られていても、何だか心に刺さらないのは、多分私がよく見たヨーロッパ系や社会主義系や、何かそんな種類の作品と、どこか描き方のポイントがちがっていて、ツボを刺激しないのだろう。