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何となく変なウサギ

お隣のお宅(実は野良猫に餌をやっているおうち。笑)の庭に、のしかかるように勝手に生えていた、トゲトゲの木を例によってノコギリで根元から切ったところが、あちらの庭にさかさまに落っこちそうになった。茂った蔓草がからみついて、ぶらさげてくれているが、いつ墜落するかわからない。

車で戻って来られたご夫婦に、すみません、もし落ちたら取り出しに行きますからとおわびして、明日明るくなってからでいいですよと言っていただいていた。

それが昨夜の夕方のこと。ああは言って下さったけれど、トゲだらけの木だし相当大きいし、あちらの駐車場を抜けるときに車を傷つけでもしたら、えらいこっちゃと、今朝からぶらさがった木を見て、何とかならないかと、またノコギリを持ち出して、ひっかかってる枝を少しずつ切り払いつつ、こちらの敷地にひきずりこんで、どうやらこうやら、すべて落とさずに回収できた。

これで、ご迷惑をかけずにすんだのみか、エントランス空き地の裏側への通路も開けたから、十分ゆっくり整備ができる。
ほくほくしたけど疲れ果てて、買い物にも行けずにベッドでのびていたら、宅急便のお兄さんが来て、小さい荷物を置いていった。出かけないでいて、よかった。

実はこの夏、体調が悪い苦しまぎれに、庭仕事もだが、ネットでの買い物にも逃避没頭していていた。ハロウィンからクリスマスと続いて窓辺のディスプレイにはまり、年間のイベントと正月飾りのグッズをそろえようと、とんでもないことを考えたものだから、十二支のぬいぐるみを買いはじめてしまった。イノシシまで買った時点で、私はあと十二年も生きるつもりかと愕然として、少し我に返ったが、とにかくグッズはイベント用も正月用も、ほぼそろえた。

いや何かそういうことでもしていないと、あまりに気分が悪かったので、まともな仕事は何もできなかったのよ。

これだけ雑多な荷物があるので、家の中を見回していると、大抵の十二支は見つかるので、そんなに散財はしていない。
ウサギの置物もいくつかあったが、窓辺に置くのには、小さい気軽なぬいぐるみが欲しかった。

他のものもだけど、せっかく買うなら、それなりに気に入ったものがほしいと思っていたので、ウサギのぬいぐるみなんて、それこそ一番あるのだけど、最後まで結局買わずにいた。イノシシで我に返って、もうこのマイブームから脱出するためにも、無難でかわいいそのへんのウサギを買っとくかと決意したころ、ちょっと変わった表情の珍しいウサギをネットで見かけて、ためらわず注文した。

どうやら海外経由の商品らしくて、えらく時間がかかったが、今日届いたのがそれだった。ビニール袋にギュウギュウに丸めてつめこんで、ものすごい簡易包装で届いた。どうやら中国方面のらしく、ラベルもまったく読めない。

ウサギは、もっと独特の顔立ちと思っていたが、普通にかわいかった。しかし、じっと見ている内に、日本や西欧のとは微妙に絶対にちがう、なんか非常に変な雰囲気があるのに気がついた。作りはきちんとしているし、毛並みもやわらかくて素敵だし、ごらんのとおりに見た目もかわいい。だが、どこかおかしい。どこか変。耳の付き方とか、その他いろいろ。

それでもう、まったく忘れてしまっていたことを思い出した。もう何十年も前、ゲーム好きの学生に指導してもらって、UFOキャッチャーのぬいぐるみ釣り上げに、けっこうはまったことがある。その学生が寄付してくれた戦利品も、私自身が獲得した分も、研究室においていたが、どれもこれも、色使いといい表情といい、変におかしかった。学生によれば、こういうのに入れておくのは安い中国製だから日本のとはセンスがちがうんだということだった。とにかくどれも、いや絶対に決定的にこれはないだろうという感じが、満載なのだ。

中国から来た留学生の女性に見せたら、これぞ文化の差というものか、どれもとてもかわいくて、何もおかしいところはないと真剣に言った。実際とても気に入ってくれていたので、全部もらってもらったら、とても喜んでくれたっけ。こちらも助かったし、うれしかったけど、あの、どこがどうとも言えない、ピンクや緑の鮮やかなぬいぐるみたちを、このウサギは連想させる。色合いは普通に上品だし、一見おかしなところはないのだけど、それでもどこか、血は争えない感じがするのだよね。

もう今ではなかなかこんなのにめぐりあえるチャンスもなさそうだし、この異和感も珍しさもレアだから、大切にかわいがってやることにする。

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カツジ猫