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優先順位が決められない(続けちゃう)

言われたらムカつきそうなこと、その2です。
言われるというより、自分でこう考えてしまうことが多い。そして失敗する。
でも実際に、こう考えてる他人も多いと思う。少なくとも大学の事務の偉い人なんかは絶対に考えてそう。

その2。「忙しいとか時間がないとかったって、会議や仕事は、ほんの数時間じゃないか。それがそんなに仕事に影響するのか?」

はい、します。
子育てとか介護とか大学の正規の教員とか、もうこういうことがしょうがないということになってる場合は、私もあきらめて、そういう体制をとりますよ。しかし、大学でも夏休みとかで長期の自由時間が確保されていたり(最近はそれもないけど)、停年退職して親も死んで孤独死予備軍になったりしたら、当然そういう環境をフル活用できる仕事をしないと意味がないわけです。

そういう仕事の形態の最高のメリットは、時間や予定に縛られず、全力投球できることです。のりにのって、もう一生に一度かノーベル賞ものかというような発見や結論や新説をつかめそうになったとき、「ああ、時間か」と手をゆるめなくてはならないかもしれない心配をしなくてすむことです。

たとえ日にたった一時間でも、何か用事が入っていたら、それをぶっちぎることになるかもしれない仕事は恐くて最初から予定を組めません。小刻みの時間なんかもらっても、どうしようもない仕事ってあるんです。
一時間でも三十分でも、何か予定が入っていたら、その一日はつぶれます。そして、その一日がつぶれてしまうと、一週間やひと月の予定だって将棋倒しに崩れるの。資料調査や集中的な作業とかが。

そりゃ、細切れの時間しかなかったら、それでもできる仕事はあるからしますよ。しかしね、それをいくら重ねても、つないでも、一気に長い時間にかたづけられる仕事は絶対できないの。かわりにはならないの。

私は将棋も碁もチェスもしませんけどね。その一つの駒やら石やらが、その位置にあるばっかりに、もう全面の動きがとれないことってあるでしょうが。三十分や一時間の予定って、そういう働きをするんですよ。

私はアスリートや芸術家は尊敬します。自分が真似ができるとは思わない。だけどね、クラシックバレーだろうと野球だろうとボクシングだろうとフィギュアスケートだろうと、朝から晩まで、そのことだけ考えて夢中で練習して他の楽しみを全部なげうって何年も続けるなんて、別にそんなに大したこととは思えない。私だって朝から晩まで本読んで資料調べて研究して他は何も考えないでよかったら、多分、何の苦もなく普通にそうする。

まあ現実にはアスリートも芸術家も、それができずに、スポンサーやファンやごひいきのご機嫌をとったり家族や恋人に振り回されたりして、時間をとられたりするんだろうけど。それでこける人が山ほどいるんだろうけど。
要するに、集中してやれるかどうかは、そのこと自体のきつさや退屈さの問題じゃないんですよ。邪魔が入るか、入るんじゃないかとイライラヒヤヒヤしてしまうのが、一番障害になるんです。

そして、熱中し集中してるときに、他者からでも自分の意志ででも、中断せざるを得なかったら、下手したら、もうそのときにつかみかけた真理や表現は永遠に消えて二度と戻っては来ません。それほどでなくても、もう一度再開するとなると、パソコンやシステムの再稼働どころじゃないエネルギーがいるの。
私が今年いっぱいでかたをつけようとしてる仕事なんか、一気に進めたら半年で終ってたかもしれない仕事です。それが何十年もかかってしまったのは、他の用件で中断させられるたびに、思い出したり、時代の変化で修正せざるを得なかったりして二度手間になったりしたからで、本当に中断させられたもののすべてを、恨んでも恨みきれないぐらいくやしい。

だから、たかが一時間とか三十分とか思ってほしくないわけ。それで中断されることで起こる損害というのは筆舌につくしがたいわけ。
私がしばしば、いろんな会合や集会で、けっこうゆっくり長居したりしているのは、余裕があるからじゃないんです。もうその日の仕事はどうせワヤになって、とりかえしがつかないから、絶望して脱力してるだけですよ。

はあ、その3まで書く予定だったけど、もう頭に血が上って疲れたから、日を改めます。

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カツジ猫