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六年生の夏(14)

母親以上に台所の食品の位置を把握している中学生(従姉の伊佐子ちゃん)というのもすごいけど、大都会のデパートで一人で置いておかれて勝手に買い物してる小学生(私)というのもなかなか。昔はよっぽど治安がよかったんですかね。誘拐事件もそこそこあったし、そうとも思えないんですけど。
 私は物はしつこく大切にする方なんですが、何しろ叔母にはあまりにもいろいろ買ってもらったので、かえって思い出せなくて。ずっと何となく大事にしてきた、この小さいクマなんか、ひょっとしたらそうかもしれない。

8月13日 水曜 天候◎ 起床7時10分 就寝11時30分

図画 ひひょうする
 手紙 古庄先生 柳川先生

今日こそ図画をぬり上げようと思って、朝はやくからぬっていたら、「今日は八時の汽車で博多に行くから洋服を着がえてね。」と言われたので、がっかりした。でも、又、色々なものを買ってもらえると思うとうれしくもあった。汽車は満員で、博多まで、ずうっと、すわれなかったので、汽車からおりた時には、足の骨が皆、なくなったような気がした。まずデパートへ行って、私のスカートや伊佐子ちゃんの英語のドリルや、その他、色々な物を買った。おばが買物があるから、五階の、おもちゃや、本や、文房具売場で待っていなさいと言って、下へ下りて行ったので、私はさっそく、本の売場に飛んで行き、読みたかった本を二、三さつ取り出し、ついに全部読んでしまった。それから、おもちゃ売場へ行って、安本さんへのみやげなどを買った。

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カツジ猫