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六年生の夏(19)

叔母夫婦はつましいながらに裕福な方だったと思うし、伊佐子ちゃんはおしゃれだったのですが、それでも当時は私も彼女も買い物に行くのに、はだしで下駄なんですよねえ。お釣りに一銭が混じってるっていうのも、それを取り替えてもらいに雨の中を戻るっていうのも時代だなあ。

8月18日 月曜 天候◎ 起床9時0分 就寝10時50分

朝食がすんでから、家中全部大掃除をした。おじもおばも勤めに出ているので、伊佐子ちゃんと二人だけでした。やっと、掃除がすんだので、図画を書こうと思って、道具を出して来ると、伊佐子ちゃんが、お使いに行くから、一しょに来てと頼む。来てくれと言うのだから、行かずばなるまい。雨がふっていて、なるべくなら、家に居たかったけれど、しかたがない。配給所にパンがなかったので町まで行かなければならなかった。足がどろだらけになって、ゲタは、全く見られなかった。帰りがけに、組合のといから出る水で足を洗った。伊佐子ちゃんは私の倍位、どろがついていた。家に帰って、お金のかんじょうをして見ると、十円のかわりに昔の一銭が一まいある。これはけしからんと言うので雨の中をまた二人でかえに行った。店の人は案外、あっさり、おわびを言ってかえてくれたのでホッとした。

この写真がどこで撮ったのかどうもわからないのです。田舎の家の角かなあ。でも、だとしても、その建物はもうこわされているので、確認もできない。

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カツジ猫