心意気
私の母はまだ女性の野球ファンなど皆無と言っていいころの戦前、六大学野球に熱を上げ、まったく縁もゆかりもない慶応に入れあげていた。ちなみの弟の板坂元はこれまた何の関係もない早稲田のファンで姉弟でさんざっぱら対抗していたらしい。
母はスコアブックもちゃんとつけていて、私の生まれるずっと前の試合を私に再現してくれたりした。ソフトバンクホークスに慶応出身の柳町選手が入団してけっこう活躍しているのを、草葉の陰で母はさぞかし満足していることだろうと時々苦笑する。高校野球の実況をラジオで聞きながら、小さい時に母に習った「若き血」の応援歌がくりかえされるのに、ふとまた笑ってしまう。
高校野球も複雑な思いをしつつ、つい聞いては楽しんでしまうのだが、もうこれ、やつあたりですけどね、けっこう大事な気象情報、交通情報、普通のニュースを、絶対野球を中断しないで「この回が終わってからお知らせします」とか言ってるのを聞くと、その気づかいと手間と遠慮を、他の放送ではやれないのかいオラと、つい毒づいてしまいそうになる。どう考えても重要性(または非重要性)では変わりない、この手の「お知らせ」を、深夜放送などでは、平気でぶったぎって、わりこんで来るくせに。相手を見て列に割り込むやつを見ているようで、ほんとに毎回腹が立つ。
とか言ってたら、昨日の夜の音楽番組だったかで、いつものように歌の途中で、どうってことない地震情報がだらだらわりこみ、まあ地震ならしかたがないかと思っていたら、何とアナウンサーが「今のお知らせで曲が中断しましたのであらためましてはじめから」と言ってオフコースの曲だっけを、はじめからまたかけ直した。やるやんと思っていたら、何とまたすぐ同じような地震の追加情報がわりこんで、また曲がぶっとぎれた。
どうするんだろうかと思っていたら、アナウンサーは笑いもせず、しれっとしらっと「三度目の正直で」とか言いながら、また最初から曲をかけた!(笑)
まさか、このブログを読んでたのではあるまいが、その心意気には感嘆した。でも「夏を送る歌の特集」とかだったから、きっと何曲かを犠牲にしたのだろうけど。
まあこんなのは、腹が立つと言ってもまだいい。山口県の上関だっけが、核のゴミの再処理工場を作ることに前向きらしくて、ついでに対馬でも何かそういう話があるようで、青森の六ケ所村の記録をぶあつい二冊本で昔読んだこともあり、いや、自分の近くに来たから恐がる怒るというのも、遠くならいいのかと言われそうで、たしかにそういうところもあるから情けないが、本当に背筋が寒くなるほどいやだ。
山口県には知り合いも、知り合いのいる大学もある。何か事故でもあったら影響がないではすまない地域だ。私は前から教え子の学生たちが徴兵にあわないですむまで年をとるようにと、ひやひやしながら見守っていたが、年をとろうが何だろうが、こういうことがあるから安心できないと骨身にしみる。
ラジオのニュースで、町長が「調査に前向き」という発言をする議会に押しかけた反対派の人たちが駐車場で町長の車をとりかこみ、抗議する声がちらっと入っていて「勝手に決めないで下さいよ!」ということばが聞こえた。それだけで、もうすべてわかる。宗像の沖ノ島の世界遺産のときもそうだったが、絶対議論をしないで、避けまくって逃げまくって、上の一存で決めて行くのだな。政府がそうだから、こういうことばかり地方自治もまねるのか。知らんぞ、そんなことしていて、何がどうなっても。だいたい、他国のミサイルよりも、自県の核のゴミ処理施設の方がよっぽどさしせまった危険だって、わからんのか。
昨日は雨が降りそうで降らなくて、様子を見ている内に日が暮れて寝てしまい、その分今朝はたっぷり水まきして、草取りも少しした。まだまだいろいろ計画もあるのだが、どうもいろいろ、やる予定が多すぎて。今日はもう割り切って室内で、小物の片づけに精を出すとするか。
久しぶりに花屋さんで花を買った。この台風で沖縄からの花の荷物が大量に送れないでとまってしまっているという、胸のつぶれるようなニュースを聞き、上品なミニひまわりと、純白のゴージャスなトルコキキョウを買って来た。さすがに売っている花の洗練された美しさは、そこから家中が華やかになって行くようだ。思わず回りをぐるぐる歩き回ってしまう(笑)。ほとんどしおれた前の花は短く切って飾り、ミニひまわりの根本の方についていた小さな枝も別にびんに挿した。