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六年生の夏(25)

それにしても、伊佐子ちゃん(私も)が本当に生き生きしているのに驚きます。丸っ切り何ひとつ覚えてないのだけど、こんな日々と時間があったのですねえ。

そしてまた、私のかわいげのないことったら(笑)。どういう心理か今読んでも自分のことがよくわからない。
 学生のころや就職してから、田舎に帰省し数日して戻るとき、祖母や母とは普通に別れを惜しんでも、祖父はあまり部屋から出て来ず、出発直前にあいさつに行ったら何だか無口で愛想が悪く、毎回不思議だったのですが、気にもとめていませんでした。ひょっとして、別れがつらくて私の顔も見られなかったのかと、あとになって気がついたけど、何かそういう気分なのかな。血筋とか。別れたくない大事なものには、惜しみなく別れを惜しめる今の私は思えば相当強くなったのかも。同じ年齢ぐらいだったかもしれない祖父以上にも。

8月24日 日曜 天候◎ 起床5時40分 就寝10時30分

明日の夕方、宇佐に帰るので荷物のせいりをした。かべにかけようと思って買った小さな人形はていねいに紙で包んでおばに買ってもらったハンドバッグに入れた。本も二さつあったけれど、めんどくさいから、二さつとも、むき出しのまま、入れた。絵具箱は重たいので一番下に入れた。ずい分、工夫したけれど、焼物のぶたと、白ズックとは、ついに入れられなかった。衣類と一しょに、おばのバッグに入れさしてもらうつもりだ。
伊佐子ちゃんが、こんな事(バッグに工夫して荷物をつめたり紙で包んだりする仕事)は三度の飯より好きだからまかしとけと言って私からハンドバッグと包み紙とを取り上げてしまった。怪しいものだ。好きだからと言って何もうまいとは限らない。でも、そう言ったが最後、大変な事になるから、それを口には出さず、だまって寝に行った。やっとウトウトしかけたと思ったら、伊佐子ちゃんが呼んだ。よっぽど大事な用かと思って飛んで行くと、うまいやろう、と言って荷物を見せびらかす。ああうまいよと答えて、しゃくにさわるから、おしいれに寝てやった。

写真は祖父と叔母と、ちょっと成長した私たち。高校生か中学生? 小倉駅の前みたいですね。

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カツジ猫