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冬支度

猫のカツジが新しい水飲み場の水をちっとも飲んでくれなくて、以前のガラスの花びんの水を飲もうと、離れたテーブルに飛び移り続けるので、いつ落っこちて脚を折るかと気が気じゃない。だんだん慣れて来たのか最近は飛び移るのも少し上手になってきたようで恐ろしい。もともと猫にしては足腰が弱く、高いところには飛び上がれなかった猫なのに何ということだ。

昨日はまさか私の留守に落っこちたのではあるまいが、後ろ足をちょっとひきずって歩いていた。思わず「君は周東佑京くん(プロ野球のホークスの俊足選手だが、足を傷めて手術をするとかでファンは皆心配している。シーズンの最後の方では、ときどき足をひきずって、それでもけっこう活躍していた)か」と言ってはいけないようなことをつぶやいてしまった。でも触っても痛そうじゃないし、病院に連れて行こうかと迷っていたら、次第に治ってしまったようで、ほっとしている。

新しい水飲み場には、昔買った極上の立派な水盤を置いてやって毎日水も替えているのに、見向きもしない。先日買ったきれいなトルコキキョウがしおれはじめたので、今朝はやけで花だけ切って、水盤に浮かせてみた。これでひょっと気分が変わって、飲み始めてくれないものかしら。

非常勤で行ってる集中講義で、文学史についてしゃべった。そのとき引用したジャック=ル・ゴフ『時代区分は本当に必要か?』という本をコピーして次の時間に配ろうと思ったら、書庫のどこを探しても見つからない。どっかにあるのはわかってるのだが、疲れ果てて、Amazonで検索したら、そんなに高くもなかったので、注文してしまったら、電光石火の早さで、すぐ着いた。どっちかというと哲学っぽい内容で、ルネサンスや中世についての考察がほとんどなのだが、まあいいか。それなりに面白いんだもんよ。
 でもどうせきっと、この後すぐ書庫でもとのが見つかるんだろうなあ。

他にも散らかった上の家の床に放りだしてあった毛布をクリーニングに出そうと車に積み込んだり、換気扇の掃除に来てもらった方の作業中に、夏の下着や服を冬物に入れ替えたり、あれこれと冬支度にも忙しい。急に寒くなって来たし、風邪でも引いたら一大事と、買い替え予定の古いエアコンと最後の別れをする感じで、夜や朝には暖房を入れている。十五年近くがんばってくれたのだし、一応今も働くので、別れがつらくてたまらない。

冬支度と言えば、アメリカではトランプ氏がまた大統領になった模様。彼の平気で嘘をつく、金にものを言わせる、暴言を平気で吐きルール無視、その他いろいろ、大統領どころか公人どころか一般人としても資格が危うい人柄が、とことん嫌いだったから、候補になってること自体アメリカと世界の恥だと思っていたら、当選したのみならず、ネットで見たら日本でも大喜びしている人たちがわんさといて、うんざりしている。こんなものを誕生させた原因の一つは、どう考えてもイスラエルというかネタニヤフにあるのだから、ますますその罪は重い。
 喜んでいる人たちは、いったい彼の危険さと残酷さをわかっているのだろうか。かつてのビートたけし人気、ヤクザ映画やマフィア映画人気などと共通する、常識破りの痛快さ、強いものへのあこがれと自己投影、などがあるのかもしれないが、そんなものとは次元がちがう危うさだぞ、これは。
 まだまだ言いたいことはあるが、その内に。とにかくトランプ、プーチン、ネタニヤフ、その他いろいろが跋扈する冬の時代に備えるしかない。

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カツジ猫