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処刑人Ⅱ・感想。

さてさて、忘れないうちに書きますが。
世の中にはびこる悪(巨悪というよか、むしろ、そのへんの小物の、でも凶暴なしょーもない悪)をお掃除感覚で、消しちゃうのって、イーストウッドのダーティー・ハリーにしても、ブロンソンの「狼よさらば」シリーズだっけにしても、中年の疲れたおじさんが、やむにやまれずぶちきれて、ことに及ぶわけで、「処刑人」の場合は、それがもう、まだ世の中をよく知らないんじゃないかと言いたい、うぶで無垢で初々しい若者二人が、必死なことから始まったにせよ、ほとんど軽いノリで、スタイリッシュに明るく陽気に、危なっかしく、正義の審判を下しちゃうわけで、でもそれが、なんかこう、別に悪い感じもしないのが、思えば恐い映画だよなー(笑)。

でもなんか、考えてみれば、ていうか、考える前に感じてしまうのは、案外正義の天使とか神さまとかって、こーゆー無責任で危なっかしく残酷な無邪気な若者で、こういうノリで人間に賞罰与えてるのかもしれんなーって妙な実感です。
これはキャラママの専門だけど、江戸時代の初期とか、浄瑠璃や歌舞伎で、年寄りたちが、どうしようこうしようと、だらだら会議してるのに、「ええ、面倒なっ」とぶちきれて過激に悪をあっさり攻撃し、全滅させるのって、皆、若者なんだよねー。
歴史をみても、そうやって若者が行動し起爆剤になるのが、むしろよくある例で、そんなこと考えられない最近の日本の方が、普通じゃないのかもしれない。

この正義の大天使二人みたいな若者は、しかも仲のいい兄弟で、決していいかげんじゃなく、真剣にやってるけど、でも、いいかげんに見えちゃうぐらい、深刻じゃない。悩まないし、落ちこまないし、明るくて、軽い。そこが何とも好ましい。

私はラッセル・クロウのファンですが、年末に日本で公開される(何でそんなに遅いんだー!)彼が主役の「ロビン・フッド」については、まあちゃんとやってるとは思うし、映画としてはよくできてるようなんだけど、でも私のロビン・フッドのイメージとは、聞けば聞くほどちがうんだよねー。そもそも昔のケビン・コスナーのやったロビンの映画でも、「何この重っ苦しい、深刻なロビンは。ロビン・フッドって、もっとカラっとした、楽しいお遊び感覚で、反逆も絞首刑も決闘も、ぎりぎり危険を冒しつつ、楽しげにやってしまう、軽やかさが命じゃん」と、しらけて不満たらたらだったんです。
それは、私のイメージにすぎないのかもしれないけど、シャーウッドの緑の服の森の仲間って、やっぱりそういう雰囲気で皆に愛されてきたと思うんですよ。

で、「処刑人供廚鮓てるうちに気づいたんだけど、これが私のイメージの「ロビン・フッド」の世界なのね。あの兄弟のどっちでもロビンをやってくれたら、もう私、泣いて喜ぶ。映画全体の軽やかさと明るさと、やんちゃな子どもたちみたいなかわいらしさも、私の描く森の仲間たちそのもの。

あー、もうだからラッセルとリドリー・スコット監督は、同じ弓の名手ならなんでもう、ウィルヘルム・テルをやってくれないんだよ、あのテルのイメージこそラッセルは、ぴったりなのに。
ちなみにロビンはジョニー・デップでも、どっかちがうんだよね。シャープすぎて。バカをやってても、デップはどこか鋭い。ロビンはもっとのんきで、普通っぽい若者がいい。絶対「処刑人」の彼らだってば。

長すぎたので、わけますね。

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カツジ猫