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前途洋々

タイトルは、むろん日本のことじゃないぞ(笑)。

「水の王子」の短編集「渚なら」を書き終えたし、「山が」「空へ」の紙本&電子書籍の出版もあとひと息にこぎつけて、ちょっと意気が揚がってるだけ。と言いつつも、机の回りはめっちゃくちゃに散らかってるし、そろそろまた暑くなりそうだし、読むべき本も出すべき手紙もたまってるし、なかなかどうして楽観はできないんだけど。

ただ、家の中も庭も仕事も、展望は決まって方針も決まって予定も立っているのだよなあ、いろいろばっちり。だから思いきし楽観はしてるんだけど、人目には絶対そうは見えないだろう。奈落の底で、ほら吹いてるようにしか見えないかもなあ、いいけどさ。

小説書きに時間を取られちゃまずいから、セーブしようと必死なんだけど、自分の中を整理するのに、とてもいいんだよねこの作業。何しろ現実があまりにひどい世の中なんで、社会や国や人間のあるべき姿を忘れないでいるためにも役立つし、ひょっとして一種のセラピーになってるんじゃなかろか(笑)。

『オリーヴ・キタリッジの生活』も再読したいんだけど、少々しんきくさい読書が続いたのがいやんなって、友人にすすめられた『シナモンとガンパウダー』って、女海賊と料理人の話を読みはじめた。ぶっとんでるようで、きっちり詳しく書いてあるから楽しめる。どさどさ人が死ぬ一方で、めちゃくちゃ繊細で微妙な料理の描写もあるのが、いい気分転換になる。

しかし、まあそれとは比べものにならないが、こちとら、あれこれ工夫して食べたいものを作って、やっと食事をはじめたら、猫がすかさず餌をねだりに来て中断されるのが、本当にそろそろ頭に来始めた。
 こやつ、前もって私が皿に餌をのせておいてやっていても、だめなんですよ。(おいしいドライフードは別に、常においてある。)要するに私が食事を中断して、餌を準備するのでなければ気に入らないらしい。愛情の確認かなんか知らんが、ふざけるな。

無視して食べ続ければいいんだけど、私は昔からもう病的に、めしでも恋でも仕事でも、人からうらやましそうに見られながら、没頭するのが苦手なんです。ものほしそうに見てる他者がいて、これをもらったら幸福になる他者がいて、それでも平気で無視して自分の快楽を味わうのが、すごくいや。餌を与えて、それ食って満足して顔洗ってる猫を見ながらでないと、気になって気になって食事の味がわからない。このへんの心理は「情けあるおのこ」で、たっぷり書いたけどさ。まったく、つくづく、飢えている子どもや国民がいると知りながら、へーきで豪遊してごちそう食べまくってる政府のお歴々の神経が、本気でちょっとうらやましいし、学ぶべきかと思ったりする(学ばんけどさ)。

今朝はちょっと寝坊したんで、朝顔とすれちがいました。

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カツジ猫