参政党の政見放送
昨日の書き込みにつけた、青い花の写真の背後に、よく見たら「しんぶん赤旗」が写っていた。
これは日曜版である。前は日刊もとっていたのだが、数年前に大病をした時に留守にしたので休んでもらって、その後経済的やら時間的やらで余裕がなく、まだ復活できてない。冗談でなく自民党が給付金を配布したら、再契約するかもね(笑)。内容がいちいちすごく役に立つのはわかってるんだから。
日曜版も面白くいろいろ情報が得られてありがたいし、文化人や芸能人が思いがけないほどたくさん登場するのも楽しい。取材が誠実で、きちんとした記事を書いてくれるから皆喜んで登場するのだと、前に聞いたことがある。
私が最近目を離せないのは窪島誠一郎さんの連載「『無言館』のうた」。戦死した画学生たちの遺作を集めて展示している美術館の話で、遺作や遺族が伝える作者の若者たちの思い出が、ひとつひとつ胸にこたえる。
母が生きている間に一度ぜひいっしょに訪れたいと思って果たせなかった。来世も霊魂も信じてるわけではないが、もしもそういうものがあるなら、母の魂はさっさと一人で見に行って、満足しているかもしれない。私もせめて一度は訪れたいと思いつつ、まだ実現できていない。できたら車の長期ドライブで決行してみたいものだ(笑)。
豊かな才能と夢を持ちつつ、画業なかばで徴兵され戦地で果てた若者たちの一人ひとりを思うと、絶対に戦争は世界のどこでも許してはならぬと思うし、それに向かって全力で進みたいし、選挙の投票でも、平和を守り憲法を守ると明言し宣言する政党を選ぶことが、私の最大最高の基準だ。幸い(笑)、これを条件にすると選ぶ政党は、ぐっと減るから悩みも迷いも余地がなくなる。具体的には共産党と社民党ぐらいか。その姿勢や主張からして、れいわも入るか。
…などと思いつつ、横耳で政見放送を聞いていた。社民党がラサール石井を候補者にできたのは、よかったなあ。華があるし勢いもつく。それから、れいわの候補者も各分野にいい人をそろえているなあ。共産党は苦戦するかも知れないが、例によって、みじんもゆらがず、隙を見せない、盤石の存在感が圧倒的に頼もしい。通ってほしいというよりも、落としちゃならないと切実に思わせる人ばかりだ。
参政党の政見放送も、どんなのかと思ってちゃんと見た。代表の神谷宗幣氏だけがずっとしゃべって、候補者は登場しない。もしかしたら、一人ひとりは専門分野でも全体的にも話すことがないのかもしれない。あれだけ公式公約がけろけろ変わるんだから、統一を取るだけでも大変だろうし。
で、神谷氏の話だが、あいた口がふさがらないほど無難な発言のオンパレードだった。教育勅語はいい文章だとか治安維持法も悪くないとか、高齢者の末期医療はつつしめとか、女子高生は大学に行かずに子どもを三人生めとか、目玉になりそうな政策はいっさい言わないで、外国人批判や攻撃もまるでしないで、「日本を元気にする」「消費税をゼロにして皆を豊かにする」「女性が子育てしやすい環境をつくる」とか、ひたすら耳に快いことだけを言いつづけ、しかもその方法や財源や根拠はまったく示さない。それでいて、変なとこには細やかで、「生活に余裕ができたら、昔は専業主婦というのがあったが、今なら夫婦のどちらかが仕事をしないで子どもの世話ができるようになる」とか言うのよね。街頭演説で女は進学しないで子を産めと言ったことなど口にしないで、「夫婦のどちらかが」とぬかりなく配慮をして刺激しないようにする。笑ったよ。とことん、人の気に入るようなことしか言わないで、支持者の集まる集会じゃ、過激な時代錯誤の本音をまきちらすわけね。見苦しい。
それでいて、「社会保障が行き詰まっていて金が無いから、高齢者の方にそこは少し協力してもらう」とか、すみずみにしらっと本音をしのびこませるのね。これでは人はうっかり聞き逃して、新しい日本が生まれるような幻を見てしまうんでしょう。日常の家族やご近所での、何の役にも立たないけど、その場しのぎの慰めとしちゃ、学ぶべきレトリックが満載でしたよ。
多分、外国人とか「自分以外の誰か」とかに怒りをぶつけられるような突拍子もない非常識な発言と、あっちこっちから引っ張ってきてつぎはぎした「無難で受けそうな」発言以外には、根拠も方策も何もかも、この人、実際に思いつけないんでしょうね。だから言うことが実際何もないんでしょう。
唯一ちょっと具体的で独自性がありそうだったのは、「高齢者の医療費を削減する」にあたって、「協力して医療費を少なくしてくれた高齢者には、謝礼として旅行券を配る。楽しく旅をして元気になっていただきたい」ってくだりで、あれこれもう、あほらしすぎて大笑いしてしまったけど、多分これだけは、この人が頭をひねってしぼりだした「名案」なんだろうという気がするんですけど、ちがうだろうか。どっかから盗んで来たにしては、こんなアホなこと考える党も組織も個人も、なかなかいないと思うんですけどね。
自民党はもちろん、私の大嫌いな維新だって、ここまで異分子差別とか女性蔑視とか弱者排除とか、危険で非常識な思想を白昼堂々と口にし、実際に支持者は街頭で批判する人には(特に女性には)接触して暴力を振るう、その一方で不特定多数のテレビ放送では、悪質保険会社のパンフレットも顔負けの、きれいごとを並べるようなことは、さすがにしませんでしたけど、でも基本的には、最初に維新が出て来たときに感じたことと似てるんだよね、私の印象。
評判の悪い与党を激しく攻撃し批判して、皆の共感を得る。いろんな政策で、あたりさわりのない万人受けのよさそうなものは、かたっぱしから引っ張ってきて、つなぎ合わせる。その一方で原発推進とか憲法改正とか、大きな問題をさらっとしれっとつるっと押し込む。一見魅力がありそうで、支持されやすくて、自分らも言ってて気分がいいから、調子よく元気に演説して、おいしいとこだけいいとこだけ取りの言い分ならべて、それでいかにも、是々非々の中立の良心的な立場のように思わせて安心させる。悪気があるのかないのか知らんけど、本当にたちが悪いし一番食えないし、大嫌いだとずっと思って来ました。図式的な位置取りはあれとまったくそっくりです。
やれやれ、便秘気味の飼い猫が、久しぶりに立派な大きなうんちをして、ほっとして気分がよくなっていたんだけど、こんなこと書きまくってたら、またまた朝の貴重な時間が消えてしまった。困るったらない。お昼はあっさり、そうめんですますかな。
