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古い映画、新しい映画。

◇かなり前にもらった黄色いチューリップが、寒い玄関においてあるせいか、まだ元気に咲いている。
いっしょにもらったバラはもうしおれてしまったので、昨日ピンクがかった紫のスイートピーを何本か買って来て補充したら、予想以上に華やかに春らしくなった。

◇もう相当昔のこと、映画好きの恩師の先生が、たしかジャンヌ・モローが豪華客船に乗って若い男と恋するような内容の映画の話をしてくれた。「そりゃジャンヌ・モローはやってて気分いいでしょうね」と私が言うと、「そうそうジャンヌ・モローはもう、うはうはな映画なわけさ」と先生は笑っていた。(今ネットで調べてみたら、「ラ・マン」かなあ?)
先週借りてきたDVD「クロワッサンで朝食を」は、邦題といいパッケージといい、ほのぼのとしたお洒落な映画のように見せかけていたが、なんのなんの初めっからシビアで、ヘルパー?に介護?される老女のモローの意地悪が鋭すぎて、この設定ならどうせその内二人が仲好くなって幸福になるんだろうが、わかっていてもその情景が想像できんというのもすごいなと思って見ていた。

それでもモローの老女は意地悪でも陰惨ではなく、きりっとさわやかで堂々としているから、見てて気分は悪くなかったのだが、さすがに予想してなかった展開は彼女がまだ全然「女」を捨ててなかったことで、先生が話した映画の時だってモローはたいがいの年だったと思うが、それから10年ぐらいたった今でもこれかと思うと、ただもう呆然と感服した(笑)。「八月の鯨」の老女たちも素敵だが、もうそういうのと質がちがう素敵さだった。

そう言えば昔、大学生のとき、友人と二人でモローの「黒衣の花嫁」を見て、映画館を出たあと、二人がまったく同じ感想を抱いて見ていたとわかったのは、「ヒロインが男たちを次々殺す話だが、モローがあまりに強そうに見えるから、そんなに工夫しなくても正面から腕力で向かってっても男を殺せそうに見えちゃうのが困る」ってことだったのよな。

◇「約束の葡萄畑」ってDVDもその前に見たのだが、これまた「プロヴァンスの贈り物」風の田舎の楽しさでも描いてるのかと思いきや、妖しげな天使は出てくるし、もういろいろと非常に何でもありの展開で、ひとつまちがったらとんでもないゲテモノになりそうなのに、案外全然そうなってないのが立派だった。美しい画面も突飛な展開もすべてがどこかで調和して、狂気も感じさせながら破綻をきたしてはいない。
しかしまあNHKの朝ドラのウィスキーもそうだが、ワインも作り手の生き方がそのまま反映するとか言われると、おちおち飲めないような気になる。その一方で天使や悪魔と魂をやりとりしながら作りださなきゃならない点では、小説も含めたあらゆる芸術に共通する世界が描かれてるなあと思ってしまった。

◇「ウェスタン」「ウェストサイド物語」と旧作を楽しんだので、ついでにと「大脱走」のDVDも借りて来た。この作品も何度も公開されるたびに見たから、きっと映画館だけでも50回は見てるだろう。
でも案外DVDでは見てなかったようで、「ん?」と思うところが何か所かあって、たとえば最初に赤いセーター着たセジウィク(コバーン)がバラックの戸を開けて出てくるとこ、もっとバン!とドアの音がしなかったっけ?とか、捕虜の代表ラムゼイ大佐が収容所長と初めて会うとき、へやのドアが開いて所長が映る瞬間には緊迫した音楽がぐわあっと高まったはずだよな?とか、ものすごくささいな違和感があるのが自分でも恐い(笑)。いったいどれだけ見てるんだろう。

それでなつかしくなって、ついつい2ちゃんねるの映画版で、この映画の古い掲示板を見つけて読んでたら、私と友人が、あのころいつも戦争映画で見つけては喜んでいた、ドイツの軍人役の俳優の名前がわかったりして楽しめた。
それにしても登場人物も俳優も今や皆、私より年下なんだよなー多分。もちろん映画の中ではってことだが。
そのせいか、所長やラムゼイ、ロジャーなど、年長組のカッコよさがあらためて目についた。年長ではないが、脱走を何度も阻止する、有能過ぎるドイツ軍のシュトラハウィツって、足が長くてカッコよかったんだなあというのにも気づいた(笑)。

その掲示板で「腐女子に戦争映画が理解できるかよ 」と書きこみがあったのに対し、「お前は奴らの恐ろしさを知らん  『トム×ディック』本とか平気でやってのけるぞ、あいつらなら 」「しかも 『トム×ディック』派と『ディック×トム』派で永遠のイガミ合いが始まるんだぜ 」 「どこが違うんだ? 」「 801の世界でそれを口にしたら死が待つだけだぞ」 などという書きこみもあって、何だか死ぬほど笑ってしまった。(トムとディックとハリーというのは、捕虜たちが脱走用に掘った三本のトンネルの名前。)
このところの、いろいろな気の重くなるニュースで、私も疲れてるのかもしれん。

◇ここ数日晴れていても空気が冷たく、さっきはばらばら音がするので出てみたら、アラレのようなのが降っていて外に出していた鉢植えを急いで中に入れました。
夕方にはものおきの整理をして、積み上げていたダンボールをやっと少し片づけたのですが、たたんで車に積んでしまっていて本当によかった。
小さなピンクのお菓子のような十字架のペンダントがその荷物の中から出てきたので、例の小さなマリア像の上にかけて見ました。ちょっと祭壇っぽくて、かわいくて悪くありません。もう一本赤い十字架のペンダントも見つかったのですが、これはつけて歩こうかと思っています。

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カツジ猫