君が代とりんごの的。
◇よく見に行くKumikoさんのブログで、日の丸・君が代問題について、ていねいな考察がされていて、いちいち納得し刺激も受けた。私もこれについては、いろいろしゃべりたいのだが、時間がないので超かんたんに(ほんとかあ?)。
かなり前から、この問題が盛んに議論されるようになったころから、私はもう、聞くのも話すのもうんざりしてて、何がそう腹立たしいのかというと国旗がどうの国歌がどうのという前に、いっちばん即座に感じるいらだちは、「最近、古典文学ってほんとに読まれてないんだなー」という、ものすごいいらだちと、怒りだったんだよな、これが。
何でかって言うと、私は子どものころ児童文学全集を読んで、言ってみりゃそれで思想の骨格を作ってきたところがあって、それはまちがいじゃなかったって今でも思ってるんだけど、その中にシラーの「ウィルヘルム・テル」もあった。
どーでもいいけど、シラーなんて、右翼か左翼かっていうと決して左翼じゃないと思うぞ。それこそ、あれはある意味、愛国心を訴える話でもあるんだからして。
ウィルヘルム・テルは、よく「ロビン・フッド」と、ごっちゃにされる。同じ弓の名手だからな。私は実は昔から、テルを映画化するならば、ラッセル・クロウが演じたらぴったりなのにと、ずっと思ってたんだけど、彼は最近ロビン・フッドを演じてしまったから、ますます話がややこしくなってる、私の頭の中だけかもしらんけど。
で、まあ、テルはロビン・フッドではなくて、悪い代官にしいられて、自分の幼い息子の頭の上にのせたりんごを射なくちゃならなくなった人です。
こんな有名な話にネタばれもないもんだと思うけど、一応、それでどうなったかって結果は伏せとこう。
んで、そもそも何でそんな無理難題を言われることになったかって言うと、テルがひさしぶりに息子を連れて町に出たら、広場が何だかがらんとしてて、それは自分が民衆にきらわれてるのを知ってる代官が、自分を尊敬させようとして、自分の帽子を旗ざおにつけて広場に立てて、そばを通る者は敬礼しろという命令を出して、番兵が敬礼しない者をつかまえようと見はってるわけ。
だから皆、広場に行かなくなり、見はってる番兵たちも、何てアホな仕事だと、うんざりしてる(卒業式に子どもたちとの思い出にふけるヒマも惜しんで教師の口もと必死で見てる、どっかの校長ほどマジメじゃなかったってわけだよ、この人たちは)。
テルは、うっかりその旗ざおの近くまで行って、しまったと気づいて遠ざかろうとした時、見とがめられて「おまえ、敬礼しなかったろう」と番兵につかまって、そこからその内、町の人も集まり、代官もやってきて、最後はりんごの的の大騒動に発展するってわけ。
ええっと、長すぎるみたいなんで、いったん切ります。