夏のぜいたく
ここ数年、夏には何だかしょうもないイベントをする癖がついていて、去年は近隣の花火大会をほとんど全はしごしたし、一昨年はヤフオクドームで生まれて初めて野球観戦したし、その前の年だったかは、博多座で「レ・ミゼラブル」にはまって、いろんなキャストを見まくって計4回ぐらい見たんじゃないか。あれが一番散財でした。花火や野球は安くていいわ。
今年は球場にも花火にもまだ行けてないけど、「レ・ミゼラブル」は一回だけでもと今日行って来ました。ジャベール警視の「星よ」を歌う川口さんのなめらかな声が好きだったけど予定が合わず、まあネットでも聞けるからなとあきらめて、今日は下のキャストで楽しんで来ました。上原さんのジャベールも冷たさよりもむしろ熱さが荒々しくて魅力的で、最後のカーテンコールではうってかわって、にこにこしまくっているのも、あれまギャップ萌えとはこのことかと思いながら笑いました。
ちなみに、今日のキャストはこちら。森公美子さん、さすがの貫禄。他の皆もよかったです。
ジャン・バルジャン:福井晶一
ジャベール:上原理生
ファンテーヌ:二宮愛
エポニーヌ:屋比久知奈
マリウス:三浦宏規
コゼット:熊谷彩春
テナルディエ:斎藤司
マダム・テナルディエ:森公美子
アンジョルラス:上山竜治
ただ、学生たちがバリケードで壮絶に死んで、それを女たちが悼んで、生き残ったマリウスが嘆く、という誰もが多分血わき肉おどった後に涙にむせぶ、あの一連の展開が私はどうも好かんのよね、これまであまり気がつかなかったけど。多分、私の人を愛する原点の弱点みたいなものも刺激されるんだろうけど。何かに身を捧げて死ぬ人を見送るのなんてごめんだ、という。
白虎隊やらアラモの砦やら、壮絶な最期はもういらん。生き残る戦い、勝つ戦い、そもそも戦わないですませる戦いが、今の私は見たいんじゃ。未来に希望を託して死なれちゃ、未来も困るわい。そして生き残った者は、それを恥じたり、死人をなつかしがったりすな。どうせ百年もせん内、あの世というもんがあればすぐに再会できるんだし、残った人生短い間に、もっといろいろすることはあろうが。そんな戦いは、国会の前の柵をのりこえながら、冷静に「座れ!」と命じて警官隊との衝突を断固回避したシールズの若き指導者(U.C.Dと書かれる牛田君もその一人)たちが、悲壮な自滅などしないで次のステップにクールに進んでみせたあたりから、もう過去のものになったんじゃい。
若い人も含めて、今の人たちの政治への無関心とかいろいろ言われる。でも私はそれは何か新しい戦い方、生き方を模索する過程にも見える。
きっと、もっとうまい戦い方がある。きっと、何かいい方法が見つかるはず。舞台を見ながら、そんなことばかり考えていた。