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天涯孤独

 この写真は玄関ドアにくっつけた節分用のイワシのお飾り。魔除けになるかな?

数日前の朝、ラジオで何だかしめっぽい男性の声が「天涯孤独」について語っていました。何でも去年、お母さんが亡くなって、その淋しさについて話したら、いろいろと反響があったのだそうで。数人の視聴者の反応を紹介しておられたけど、皆さん配偶者や母親を亡くされて、自分が何者かもわからなくなって孤独になって淋しいとか、そういう内容。

私は何しろ三十代かそこらで、恩師の一人の教授からご近所の独身女性が「天涯孤独」で気の毒だとかいう話を聞いたとき、「何てすばらしいんだ、天涯孤独って。最高じゃん」と思ったぐらいで、それは今でも変わりません。というかエスカレートしとるわい。

そもそも配偶者でも親でも猫でも、「私の死後どうなるだろう」と心配しながら死ぬよりは、こっちが残された方がどれだけ幸せか知れやしない。沈む船でも滅びる星でも、最後に残る一人になることは、私はむしろ満足で気楽だ。

それに私は親でも親戚でも好きだったけどたいがい苦労もけんかもしたから、相手がいなくなったとき、「やるだけのことはした」という充実感しかなかったもんね。今も毎日そのへんにいるようで、喪失感がそもそもない。

家族が皆亡くなったあと、周囲に家もない田舎の大きな家を片づけていて、広いまっ暗な家に毎晩一人で寝てたときも、淋しくも恐くもなかった。もしも誰かが化けて出て来たら、「よくぞ出て来た、ちょっとそこに座れ、こっちが言いたいことがある」と、いろいろ文句をまくしたててやると、手ぐすね引いてた。そのせいか、いつも安らかに爆睡したし、亡者たちからは守られてる気しかしなかった。どうしてこんな気持ちになるのか自分でもわからないが、ありがたいことにはちがいない。

被災地の状況はあいかわらずで、テレビのニュースで毎日「ダンボールでトイレを作る方法」などを説明しているのを聞くと、言ってるアナウンサーが悪いんじゃないが、情けなくて涙が出そうになる。これだけ時間がたってまだ、トイレの水も風呂の水もないなんて、どうして何とかできないんだ。信じられない。それくらい金と力で何とかしろよ。政権担当者の得意技だろうが。

首相が被災地を訪問したのがかたちだけと非難されてるようだが、こっちはもう最初から期待してないから何も感じない。しゃもじをかついで行かなかっただけましだと思っているよマジで。

それにしても私はいつも災害が起こるたびに変なことが気になるので困る。以前に島田紳助がさまざまな人の絵画をオークションして、いろんな人の絵が買われて行く番組がけっこう面白かったのだが、東日本大震災のとき、あの地域に買われて行って失われた絵がどれだけあったのかな、どれとどれだったのかなとふっと物悲しく考えていた。
 今度は、大谷選手の寄付したグローブは被災地にもう配布されていたのだろうか、失われたのもあるのだろうかと、しょうもないことがつい気になる。
 どちらも、そんなニュースをどこも流すわけはないし、私も知りたいわけではないが、ただ何となく悲しくなる。

さて、先日ランチをともにした友人はプロ野球のファンでもあって、いっしょにWBCの映画のDVDを見ながら、その手の話で盛り上がった。ちょうどその前日、山川選手の人的補償の問題が持ち上がったばかりで、彼女は別の友人と「ホークスのフロントは何を考えているんだ」と悲憤慷慨していたらしい。その問題はまた二転三転したし、細かいことは何もわからないけれど、その少し前、例のヒトラーの映画のパロディで、このことがネタになってたのを思い出して、世にもしょうがないけど、またリンクしておく。こんなんで笑ってる私も、何だか末期症状だよねえ。

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カツジ猫