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嬉しい悲鳴

毎朝、庭の花や木に水をやりながら、とにかくもう、この夏をともに生き延びようと声をかけるしかない気分。そのせいかどうか、一応燃えるような日差しの中でも、花や木は無事に緑の葉を広げている。
 何だかだって、もうすぐ八月。それが終わればもう九月。新しい手帳やカレンダーが売り出され、それを選んでいたら、もうハロウィンでクリスマスでお正月。あれこれ目まいがしてしまう。

新シリーズ「馬の中」は完結して発売になり、八月の楽しみにしていた菱岡賢司氏の「椿説弓張月」の現代語訳本はいただいたし、映画「国宝」が大ヒットして、歌舞伎ファンが増えてるらしいから来年の講義は歌舞伎関係でやってみようかと思ったりもするし、いろいろと楽しいことや書きたいことも多いのだが、こう暑いと何だか考えや夢や予定が、霊魂みたいにふわふわ頭から飛び出して、そのへんを浮遊してるようで、それに見合った行動ができないのよー。

とか言ってもいられないから、猫のエサでも買いに行こうか。そう言いながら冷たいお茶とか飲んで、そのへんで沈没してしまいそうだけど。

それにしても「椿説弓張月」は読むのが楽しみ。前に私は菱岡氏は老成した安定した筆致や文体の人だから、馬琴の派手でぶっとんだ雰囲気にのれるかと、しょうもない心配をちらとしたが、忘れていたよ、彼はインド映画のファンだったんだよなー。私にはいまいち魅力がわからない、あのどんがらがったの派手派手の演出や画面をいつもウハウハ喜んでいたような。それじゃあ、もう何の心配もないじゃないか、と自分の見当違いな取り越し苦労を笑いながら、即読みたいけど、その前に読みたい本や読まなきゃならない本がこれまたあって、ほんともう、どうしていいのかわからない。

その一方で、ガザの飢餓とか自民党の混迷とかも頭に来るし気になるし。まあしょうがない、ひとつひとつ片づけます。

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カツジ猫