寒いと言っても
◎この前の講演をしたところから、お礼の手紙と感想文の集計が来た。返事を出そうとはがきを探していたら、いつ買ったのか忘れたが美しい桜の模様のが何枚も出て来て、少し幸せな気分だ。
◎昨日から急に寒くなったが、やはり立春だからなのか、どこか暖かい。カツジ猫の庭に梅の木を植えたのだが、最初に植えようと思って掘り返した場所をそのままにしておくのがもったいなくて、今日、小さいすみれをひと箱買って来て植えてみた。梅のつぼみも少しだけふくらんでいる。水仙はあちこちで満開で、クロッカスの芽も伸びはじめている。
数年前から気になっていた、庭のマンホールのふたも買い替えた。穴のあけてあるタイプで、落ち葉や砂利が入るので、穴のないものに変えようと思っていたが、昨日ナフコで売っているのを見つけたので、今日、1枚をはずして抱えて行って、同じ大きさのを4枚買ってきた。「車を近くに持ってくるから待っていて」とレジで言ったら若い男性店員が雪のちらつく中、軽々と5枚を抱えて車まで運んでくれた。思わず「すご~い、ありがとう」と大いに感謝してしまった。
このごろ世の中の人が大抵私より若くなったので、買い物などでほとんどタメ口でしゃべるようになっている。いいことなのかどうなのか、ちょっと悩む。
◎今日は院生のH君が立ち寄ってくれた。カツジ猫は彼が好きなので、近くをうろついていたが、結局エアコンの魅力に勝てなかったらしく、いつもの椅子の上で、目を開けたまま寝こけていた。これは、こいつの気味悪い特技である。(笑)
H君は明後日が修論の面接試験らしい。都の錦という作家について書いたとのことで、岡西惟中の寓言論との関わりなど聞かせて貰って面白かった。たった2年で本当によくそこまでやれたなあと若い人のパワーに感じ入った。
もっとも私に言わせれば彼は学部でも院でも、もちろん学問的にも立派だが、めったにないほど穏やかで落ち着いてバランスのとれた立派な性格の指導教官に担当されるという、よほど前世でいいことをしたのか、もうこれで一生分の好運を使い果たしたのかというほど、師弟運に恵まれている。(もちろん、どちらの先生も私ではない。)それは本当によかったと思わざるを得ない。むちゃくちゃな先生とつきあっても、それなりに学ぶものはたくさんあるが、モームの「幸福はたまには人間を立派にするが、不幸は人間を立派にはしない」という警句を思い出すまでもなく、やはり苦労はしない方がいい。