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微々たるものだが

一昨日だったかしら、以前私が留守のとき、猫のカツジにエサをやりに来て下さった母娘のお二人が、久しぶりにカツジを訪ねて来て下さった。カツジは私と二人きりの暮らしに飽いていたのか、けっこううれしそうで、お気に入りらしいお嬢さんの横に、のびのびと腹ばいに寝て、顔までくつろいでいやがった(笑)。

お嬢さんはもうすぐ家を離れて一人暮らしをはじめられるそうで、私はおせんべつの買い物に行く余裕もなかったから、「大工道具とか持ってる?」とか言って、かなづちとドライバーとメジャーとキーホルダーが、めちゃくちゃ余っていたのを、もらっていただいた。何しろその昔、叔母のマンションとか田舎の家(二軒並んでたし、その一軒は古い家で三軒分ぐらいの広さがあったのよ)とか管理してて、プチリフォームとかばかりしてたから、かなづちやらドライバーやらペンチやらを店が開けるぐらい買いこんでいたのよ。半分以上新品だし。

私自身は祖父が使っていた柄までが金属の古いかなづちがあれば、今は十分なので、もらっていただくと少しでも減って、微々たるものだが断捨離もできて本当に助かる。「まめまめしきものは、まさなかりなむ」とは逆すぎるけど、でも私の体験じゃ、一人暮らしをはじめたら、大工道具ってけっこう必要なんだよね。

もらっていただくと言えば、これは私がもらう方。先日ご近所の方にいただいたゴーヤがかなりおいしく食べられたので、わが家の庭に進出して来ているつるの先にぶらさがってるのを、もらっていいですかと聞いてみたら、ぜひ取って下さいとのことで、さっそく収穫してきた。「誰ももらってくれんとよ」とご主人は嘆かれていて「いくらでも取って下さい」と言っていただいた。もともと、つるが侵入していたのを気にされて、いくらでも取って下さいとは言われていたのだ。スーパーでは一本百円ぐらいで売っているから、これは大いに助かる。

中庭では伸び放題のジンジャーがいっせいにつぼみをつけはじめた。だいぶ刈り込んだとは言え、これを切っていけば、当分切り花には困らない。そう言いながら昨日衝動買いしたまっ赤なピンクッションがあんまりかわいいので、もう一本買ってこようかと思ったりする。

切ったジンジャー数本は上の家の仏間に飾った。いい香りがして気分がよく、少しだけ上の家の台所と居間を片づける。まだまだだけど、ちょっとは見られるようになった。

下の家ではお盆もすんだし、窓辺のディスプレイを十五夜風に変えようと思うけど、母の野球人形のフィギュアを飾っているので、高校野球が終わるまではこのままにしておこう。何せ私は去年イベントグッズを買いまくってたとき、十五夜用の木製のおだんごセットとか買っちまっているんだよねえ。

映画監督の想田和弘さんが国葬の日に黙祷する代わりに何をするかというハッシュタグで皆に問いかけている。今のところ、まともなのが多くて、あまりこれ!という回答はない。こういうの私は乗って考えたいが、今は何よりも、そんなこと(国葬)を実行されてなるものかという嫌悪感と拒否感が先に立つ。

元首相はもちろん大嫌いだが、もはやある意味過去の人、やったことの点検は徹底的にしなくてはならないとは思うけど、個人的にはいっさい興味がないし、正直愛憎さえもアホらしくて感じられない。だから支持者や崇拝者が葬儀をするなら、さしあたりは気にもならない。それを国の(つまり私の)税金を36億も使うということが信じられないし許しがたいし、いっしょに悲しめ惜しめという精神の押しつけがましさ薄汚さが、何から何まで吐き気がする。これは故人が元首相でなくても誰でも同じことだ。

そもそも日の丸君が代(マイナンバーカードもかしらん)皆そうだが、どうして自分の好きなものを、嫌いと言ってる人にまでいっしょに好きになってもらわねばならないという気になれるものなのかね。その感覚が私には骨の髄までわからない。嫌いな人に無理に好きになってもらい悲しんでもらいたいと、なぜ思えるのかしら。私はそういう人のいやいやながらの好意や悲しみがまざることの方が、自分の好きなものや人を汚すようで、不愉快で耐えられないのに。

あんまり好きな筋でも場面でもないけど、ドラマなんかでよく、葬式に来た人に遺族が「お帰り下さい」と焼香を拒否したりするじゃん。ほんと好きな場面ではないけど、マンネリなぐらいよくある、言いかえれば世間では皆納得する常識の展開じゃん。

今回の国葬ってその逆で、来たくないと言ってる人を、葬儀場に引きずり込んで焼香させようとするようなものでしょ発想が。しかも香典はどっさりよこせと言ってるわけで、いやもう取り上げて行ってるわけで。
故人を少しでも愛してたり敬意を持ったりしてたら、そんなことできるのかね。元首相って、よくよく人に愛されてなかったんだと、あらためて思うよ。

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カツジ猫