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微妙な季節。

◇先日の駐車場でよその車をかすった事故処理で、保険会社から来ていた書類を近くのポストに出しに行ったら、もうポストの上の桜の木がいっぱい花をつけていて、枝がすぐそばまで伸びてきていた。あたり一面春の気配で、冬の重いコートやセーターはとても着てはいられないのだが、さりとて寒い。遠出にも近くに行くのでも何を着たらいいのか困ってしまう。
私もたいがいいいかげんなかっこうで出歩いているが、気のせいか、街でも近所でも皆の服装が投げやりというかいいかげんというか、全然ぱっとしない。変にくたびれた、ありあわせのものを重ねたり羽織ったりしている感じで、この季節のお洒落というのは実に難しいものだと痛感する。おかげで街も何となく、ほこりっぽくて美しくない気がする。せめて何か鮮やかな色の服でも着たいなあ。この前、湯布院の猫のいる店で迷って結局買いそこねた、青い布のコート、やっぱり買っとくべきだったかもしれない。

でも本当は私は、紫がかった灰色のスモックみたいなコートとパンツが、それこそ微妙な薄さで、ちょうどこういう季節にしか着られない、ものすごく短期決戦のやつなのを持っていて、こんな時期こそ、せいぜい着まくって着倒さなければいけないので、青いコートなんて、ほんとは言ってる場合じゃない。

◇偶然なのかもしれないけど、先日久しぶりに行った街のジュンク堂で、「湖底のまつり」や「とりつくしま」の文庫本といっしょに、まったく何の予備知識もなく買った「探偵は壊れた街で」というミステリ、これがまたハリケーンか何かの被害を受けた町で行方不明になった人を探す話で、この時期に読むと胸にせまる。まだ読みはじめたばかりだが、ネットの批評で見る限り、終始テンションが低くて好悪がわかれる作風らしい。それはそれで面白そうだ。

◇ユキヤナギもちらほらきれいに、星のような花をつけ出した。三毛猫シナモンのお墓やカツジ猫の庭に、そろそろ花を植えてやりたい。シナモンの墓の近くに例年咲く黄色い小さい水仙の群生は、今年ももういっぱいに咲き乱れ始めている。

◇カツジ猫は最近、何を考えているのか、庭から戻ってきて、身体を完全に家の中に入れないまま、出入り口の扉にしっぽをはさませたまま、エサ入れのエサをカリカリ食べている。警戒心がないっちゅうか、だらしなくするのが楽しいのか、忙しいふりをしてできる男のふりをしているのか、何なんだろなあ。
思えば五年前、この家を建てて、カツジを住まわせようと連れてきて、初めてこの出入り口を使わせたとき、まさにしっぽをはさんでしまって、ぎゃああああああと恐ろしい声で悲鳴を上げて私をあわてさせたのだが、変われば変わるものだ。

◇ところで首相は国会で、福島みずほ議員の質問に答えて、いや答えないで「そういう質問はやめていただきたい」って言ったらしいんだけど、今どきというかいつの時代でも、町内会でも教授会でもクラス会でもPTA総会でも、こんな回答あり得ないんじゃないですかね。学校の授業でも、生徒先生両方とも、こんなこと言えないでしょう普通。政治とか会議とか対話とか、いやもっと基本的な何かについて、この人あまりにも何もわかっていなさすぎ。あきれはてて、ものが言えません。こんなことが現実に起こっているなんて、悪夢だわ。

https://twitter.com/I_hate_camp/status/841103527380303872

https://twitter.com/SeroriHitomi/status/841128023986327553

ソクラテスの対話が典型的ですが、あらゆる質問に誠実に答える中から、真実や真理を見出して行くのって、人間の知性の基本の基本でしょうに。この首相は本当に、知性というものを、あくことなく殺しつづけますね。ことばでも態度でも行動でも、それこそ全身で。

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カツジ猫