怪我の功名
暑いのやなんかで、夏中放りっぱなしにして、どこもかしこもジャングル化している庭の中に、ぽかりと赤いカンナが咲いた。もう亡くなった叔父がくれた苗がひとむら、いつも栄えて夏中咲きほこるのだが、今年はきっと、これが最後の一輪だろうな。女王のような貫禄があって、猛暑の夏の別れのあいさつのようだ。

垣根代わりに、家を建てたとき最初に植えたキンモクセイも、いつもは適当に刈り込むのだが、今年はバテて、放っておいたものだから、手のつけようもないほど、ぼうぼうに伸びている。でも、それがまた、怪我の功名といおうか、これまで見たことがなかったほど、満開の花が、庭中にいい香りをただよわせている。

柿の実も色づき、名も知らない黄色い花も咲きほこって、そこそこきれいな秋の庭のはずなのに、なぜか私の家の庭って、荒れ果てて見えちゃうのは何でなんだろうな(笑)。
朝ドラ「ばけばけ」のヒロインの女優さん、親しみやすいのに、どこか気品のある顔が、役によくあっていて、いい感じ。そして、小泉八雲を演じる外人俳優さんも、演技が自然だから、あんまり気がつかなかったけど、回を重ねるたびに、実にうまいなあと驚いている。不安で繊細で、でも自分勝手で、終始ぴりぴりしてる演技が、ものすごくリアルで、見てるとこっちの気持ちまで不安定になりそうな迫力だ。その補佐を務める人も、名優を表に出さない、抑えた演技で、これはストレスが(役の上でも現実でも)すごいだろうなと、ひたすらに感心する。
どっかの国でまた日本そっくりに、極右と組んだ政権が生まれたらしい。全世界がこういう流れになるのはなぜなのか、ちょっとじっくり考える必要があるなあ。そりゃ、もとをただせば、直近ではロシアのプーチンとイスラエルのネタニヤフが起こしたことが、きっかけだが、それ以上のことも考えてみなくては。
私の大ざっぱだが、多分まちがいではない推量では、「情けあるおのこ」で書いた、「恵まれた強者の被害者意識」を見つめることが、避けられないのではないかと思う。危険なことかもしれないが。
しんぶん赤旗の日曜版に、斎藤美奈子氏が、一面使って意見を示し、前アベ政権と、今の高市政権を強く批判していた。「絶望しているひまはない」と強く言い切っておられる。実は私は以前に彼女のエッセイを岩波の「図書」で読んだとき、私のやりかたと、どこか似ているせいもあってか、すごい嫌悪感を感じて大嫌いで、以後「図書」まで読まなくなったほどだ(笑)。しかし、この流れや雰囲気の中で、これだけ明確な姿勢を示して、発言されていることに、あらためて、注目し、関心を抱いた。もっと若くて元気なら、お手紙でもさしあげるところだ、いやマジで。