拡散希望。
◇福岡教育大学で、教員の半数以上が署名して、学長解任の要求書が出されたようです。18日に提出されたらしいですが、私は知りませんでした。
以前は教職員の投票で行われていた学長選が、今では教授会の意見をまったく反映しないで決められているとか、二年連続で教育研究費が半額に減らされたとか、いろんな話を聞いていたので、気になっていたところでした。
学長解任要求というのは大変な事態で、それに教員の半分が(匿名でなく)賛成しているのは、更にただならぬ事態だろうと思います。
これは特殊なケースかもしれませんが、根本的には、教授会の意見を無視できるように学長の権限を強める一方で、教育予算を大幅に削減し、大学への交付金を減らしつづけた政府の方針が生んだ事態だと私は考えています。どの大学でも起こり得ることだし、それは国民全体、社会全体にも、大きな影響を与えるものです。
社会福祉や子育てなど、命や身体に関わることでも、今の政治は本当に冷酷ですが、知識や精神に対する投資も徹底的に惜しんでいます。国民の身体も心も、そして頭もむしばんで、美しい国も強い国も作れるわけはありません。
そういう点からも、ぜひ多くの方が、この問題に関心を持ち、話題を広めていただきたいと思います。以下の資料も、ぜひ、ごらん下さい。そして、できるだけ広く拡散していただけると幸せです。
http://www.sankei.com/region/news/160323/rgn1603230035-n1.html
https://www.facebook.com/gakuchousen
今回、解任要求を出した教員たちの理由の一つは、規定の年限でやめる学長が、副学長として4月から就任するという事態の異例さです。今、学長室の隣に副学長室を新設する工事が行われていて、教員の間では「院政室」と呼ばれているとか。こういうことについては、やはり学長や執行部は、誤解を解くような説明をした方がいいだろうと思えてなりません。そういう意味からも、この状況は少しでも多くの人に広く知っていただいた方が、後のためにもよいだろうと痛感しています。多分、内部ではもうどうしようもないのではないでしょうか。
◇大学は、どんなに遠回りのように見えても、教授会で十分に皆が議論することが、結局はよい方向の結論を導き出します。学長の権限を強め、独断で決定できるようになることは、問題を解決するのではなく、混乱を深めます。その意味では、学長や執行部も気の毒です。
特に私が胸を痛めるのは(私は顔を知ってる身内より、見えない、未知の他人の方がいつも心配になる性格なので)、この過程の中で、大学外部の識者の方々がつらい役回りになっているのではないかということです。
教授会をはじめとした学内の意見をまったく取り入れず、かと言ってまさか学長一人で決めるわけにも行かず、という場合、市長とか企業の代表とか、学外の方をメンバーにした会議が、さまざまなことを決定する場合が多くなっています。
これも、学外の感覚や常識を大学に取り入れろ、というお墨付きで、この10年か20年の間に次第に進められて来た改革の一環ですが、最初はいくら何でもまさか、学長選考をはじめとした大学の主要な方針の決定を、学外者中心の会議で決めようという話ではなかったと思うのです。
外部の考えや感覚を取り入れるのはもちろん貴重です。しかし、その大学の状況や、研究や学問の実態について専門ではなく詳しくもない人(だからこそ、学外者としてのそういう人の意見が貴重なのです)が、そういう決定をまかされて、責任をとらされるのは、ひどすぎます。ディズニーランドやゴディバチョコレートやヤフオクドームの経営会議に私が呼ばれても、素人の参考人としてなら、それなりに有効な役割は果たせるでしょうが、それ以上のことを言えとか決めろとか言われても困るだけです。
私は、福岡教育大学の先生で友人の一人が、そういう学外の人について、「この間の大学運営で犯罪的な役割をした」と吐き捨てるように言うのを聞いたことがあります。私はその学外の人について何も知りません。しかし、とっさに思ったのは、事情も知らずに大学のトップの人たちとだけ交流して、大学運営の会議で発言や決定をしなくてはならなくなったら、自分でも気づかずに、「犯罪的な役割」をいろんな意味で果たしてしまうことは、きっとあるだろうということでした。
教授会と対峙せず、学外の識者の会議でさまざまなことを決定するのは、学外の識者の方に、一番失礼で申し訳ないことです。いいように利用していると言われてもしかたがないぐらい、無責任な話だと思う。
◇僭越を百も承知で言うのですが、学外の識者の方で大学運営に関わる方は、どうか慎重でいていただきたいです。十分な情報が得られないまま、利用されることのないようにしていただかないと、本当に泥沼にはまりかねない。もちろんそれは、その方々の責任ではなく、大学の責任ですが、だからと言って慰めになるものでもない。
私が学長か執行部なら、学外から経営に参加して貴重な意見をいただく方には、そんなひどい責任は負わせないようにします。教授会を説得して悪戦苦闘し、文部科学省に出向いて身体をはって喧嘩するのは、学長の仕事で、学外の方の意見は、そのための大切な参考資料ですが、それを隠れ蓑や口実にするものではありません。
しかし、そうなっていない現状なら、学外の識者の方は、せめて、それなりに自衛していただきたいです。恥しい話ですが。って、何で私が大学側の代表になっておわびしなけりゃいけないの(笑)。
◇ともかくネットでも口コミでも、この現状はいろんな方に伝えて下さい。