新しい庭
朝、パソコン机に座って前の窓を開けたら、道いっぱいの幅の巨大なトラックが、のろのろ坂を上がって行った。荷台には、これまた巨大な白っぽいコンクリートの四角い塊みたいなのを積んでいた。
きっと、裏の崖の擁壁になるのだろう。昨日見たら、私の家のすぐ裏は、深く掘り返されていたのが、いつの間にか、もう底にはしっかりとコンクリートの土台が作られていた。
私の家の裏庭は、細い空き地で、ときどき私は死んだ猫のどれかを、そこに埋めてやってもいいなと思ったりしていたものだが、結局は誰もそこには埋めなかった。もし埋めていたら今ごろ掘り返されてどっかに行ってしまってただろうな。まあそれはそれで、あきらめるしかなかっただろうが。
本当は、私の土地の部分をこうやって徹底的に掘り起こす前には、一言断ってもらわなくてはいけなかったところだ。だけどまあ、そうしたら私はそこにあった木や花の苗を掘り返して保存するのに、また時間をかけてしまったろうし、結局はこれでよかったのかもしれない。掘り返されて消えてしまった、バラと椿とミカンとツワブキと水仙に黙祷。やがて擁壁ができて私の庭も埋め戻されたら、同じものをまた植えようかな。それともまったくちがうものを植えてみるかな。
あ、そうそう。昨日の授業でちょっと紹介して「見ておいて」と学生の皆さんに言った、「文学は役にたちますか?」は、こちらです。迷宮のようなホームページなので、行きつけない人がいたらいけないから、念のため。
写真は、上の家の玄関に飾った、猫のかたちの鏡餅と、ネズミの絵皿。鏡餅はちりめん製で、例年のお飾り。絵皿はネズミが可憐でつい新しく買ってしまったもの。こうしてじわじわイベント用の雑貨が増えていくのが悩ましいっちゃあ、悩ましい。