映画「ラビナス」感想。
(えっと、前の書きこみのつづきです)
◇小説も政治も映画も、ほんとに毒を抜こうと必死になったあげくのはてに、腐敗もしないまま、かさかさになって吹けば飛ぶよな塵と化す。
あ、そう言えば、「ワンス・アポン・ア・タイム」の名演技でいろいろ笑わせてもらったロバート・カーライルに敬意を表しついでに、いつもがんばるガイ・ピアースも出てることだしとか思って、DVDの「ラビナス」を借りて来た。人食いの話で、そりゃもうその題材からして毒が満載なわけだけど、なかなか楽しめた。
もっともラッセル・クロウとかロバート・カーライルとかウィレム・デフォーとか、こういう連中は何かの映画を見て好きになっても、別の出演作を見たら「え、どこに出てた?」というぐらい、がらっと他人になってしまうから、そういう点ではファン泣かせかもしれない。
カーライルも、「ラビナス」では、いつもの情けない弱々しさが寸秒もちらとも見えなかった。(ネタバレかも)最初に死にかけて弱々しく皆に介抱してもらってる時でさえ、ものすごく強い人に見えたのは(そういう役だからそれでいいわけだが)まったくタダモノではない。
ガイ・ピアースも小手先じゃなく真面目にいつもうまい人だが、大げさでなく、実力はあるのにだから慎重になって臆病に見える、ぱっとしない気の毒な人を、しっかり演じていた。この人が主役なのに、カーライルの方がやることなすこと、いやんなるほど派手だから、すごくやりにくいはずで、それをちゃんと受けているのは、これもさすがと言うしかない。
◇にしても、グロい題材であるにはちがいない。特典映像が、監督と脚本家と音楽担当とカーライルとが、それぞれ映画を見ながらコメントするってやつで、二人でやってるのもあるけど、結局三回また映画を見ることになって、話の中身は面白いんだけど、よせやい三度もかいと思っていたら、途中から早送りで字幕が読めることがわかって、だいぶ時間と労力を節約できた(笑)。
監督は何度か代わったらしいけど、最終的には英国の女性監督で、アメリカの現代の覇権主義を人食いに重ねて批判したのだという視点を聞いたときは、そそそんな深いお話とは知らなんだとのけぞったが、自分はヨーロッパ人だからと彼女が何度かくりかえすのを聞いてて、あ、そうか、このどこかこてっとした人肉食へのこだわりつうか扱い方は、ヨーロッパテイストかもしれないなと、みょーにどこかで納得した。ちがうかもしれんけど。
しかも監督(はちがったっけ)と音楽担当とガイ・ピアースは菜食主義なんだと。それはまた大変だったろうと思う以上に、そんな確率で菜食主義者って多いのかと、ちょっと驚いた。
◇ちっ、「ワンス・アポン・ア・タイム」のことを書こうと思ってたのに時間がなくなったやんね。またこの次に。