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映画「ロビン・フッド」感想4

本棚をひっかきまわしていたら、ロビン・フッド関係の本がわんさか出てきて、読みふけっていたら、なかなか感想を書くヒマがない(笑)。それにしても「アイヴァンホー」はやっぱり面白いなあ。

今回の映画がヒットして居るのかどうかは知らないが、そこそこ評判もいいようだから、あのロビンの話がたくさんの人々の頭に定着するのかと思うと、もとからの伝説でなじんだ者としては、ちょっと複雑な気分でもある。
とは言え、どうせもともと、ありとあらゆる伝説がある話ではあるのだから、今さらどんな話を作っても別にいいようなものではあるが、ただ、「アイヴァンホー」で定着したのか、その前からかよくわからないが、とにかく私の知ってる話としては、

当時の英国は、もとからいたサクソン人と、大陸から来た新しいノルマン人が対立していた。ノルマン人の方が勢いがよくて、サクソン人たちはおおむねムカついていた。
リチャード王はノルマン人だが、わりと立派な王さまでそこそこ人気があった。でも彼が聖地をとりもどそうとして十字軍作ってエルサレムに出かけちゃったんで、その留守の間、弟のジョンが王になっていた。

このジョンがアホで、国民に人気がない上、ろくなことをしなかったので、心ある人たちは皆、獅子心王(ライオンハート)リチャード王が帰ってくるのを待ちのぞんでいた。
ジョン王の法律の一つに、森のシカは王のものだから勝手に殺して食ってはいけないとというのがあって、これも人々には不評だった。

ロビンはそんな時代に悪い役人にしいたげられて、森に住んでいた謀反人の仲間になって、そのリーダーになる。腹心の部下がリトル・ジョン、恋人がマリアン、その他に赤のウィル、アラン・ナデール、タック坊主、マッチ、などという仲間がいて、貴族の協力者のリチャード卿がいて、敵方にはいつもおちょくられるアホなノッティンガムの長官がいて、ロビンをいつも苦しめる油断ならない卑劣な敵が、ギズボンのガイといったところが、このお話のいわば常連。

そうこうしてる内、リチャード王が十字軍には失敗するが、無事に帰国する。でも身分をかくしてひっそり帰ってきたので、皆それに気づかず、ロビンたちも知らなくて、知らないままに親しくなって、王が名乗った時には恐縮するが、王は喜んで彼らを城に迎えて家来にする。だが、やがて王は亡くなってジョンが次の王になり、ロビンたちは再び森に帰る。

やがてロビンも老いて体調が悪くなり、治療してもらおうと森の近くの修道院に行くが、ここの尼が悪いやつで、ロビンを裏切り、瀉血をするとき、血をとめないで、死にいたらしめる。最後にロビンが吹いた合図の角笛でかけつけたリトル・ジョンは、ロビンのたのみ通り、最後の矢を射る助けをし、その矢の落ちたところに彼を葬る。

と、まあ、こんな風なんですよねー。
リチャードが勇猛な王さまで、弟のジョンがアホだというのは伝説の世界で定着してるようで、演劇の「冬のライオン」でもそうでした。私はこれ、ピーター・オトゥールとキャサリン・ヘブパーンの映画で見たんですが、最近、市民劇場で平幹二朗と麻実れいか誰かでもやってましたね。面白い劇ですが、この中では、フランス王フィリップとリチャードがゲイの恋人関係です。あ、リチャードの方が一方的に好きなだけか。で、このフィリップがなかなかおいしい役でねえ。映画では、のちに007をやるティモシー・ダルトンがまだ若い18歳ぐらいで演じてましたが、もうそりゃすごい迫力で、ピーター・オトゥールファンで彼を見に行った私が、上映中ずっと完全に彼に浮気して、彼ばっかり見てました。今度の映画で海を渡って攻めてくるフランス王を見た時に、思わずなつかしく苦笑しましたっけよ。

ただ、私はあまり好きじゃなかったケビン・コスナーの「ロビン・フッド」がもうそうでしたが、リチャードの十字軍は最近じゃえらく評判悪いんですよね。まあしかたないけど、そりゃ世界史的視点から見れば。日本の秀吉の朝鮮出兵が、朝鮮の人からしたら清正の虎退治なんて武勇伝じゃかたづけられない暴挙で悲劇なのと同じで。それにともなって、リチャードの人気や輝きも、お話の世界じゃ色あせる。

でも私はその点がわかるけど、わりきれなかったのだよなー。今もわりきれません。そこを考えていると秀吉の侵略をどう見るのかってことにもつながるし、私は韓国や朝鮮の悪口を言えばすべての問題はかたづくと思ってるらしい人は皆大嫌いですけど、ただどういうか、あれで秀吉のイメージを否定するのもそりゃちょっと無理があるのじゃないかいと思ったりして、それはリチャード王の物語での描き方も同じなんですけど。

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カツジ猫