映画「127時間」感想(つづき、これでおわり)。
(以下はめちゃくちゃネタばれです)
まあ、気の弱い人は最初からこんな映画見ないだろうが、彼は最後に自分で岩にはさまれた腕を切り落として脱出する。実話だそうだ。でもそれも最低ぎりぎりにしか残酷な描写はなく、しかもきっちり描いているから不快な感じとかはない。映画館での反応はどうだったんだろう。やっぱり映画館で見たかったなー。
私だけじゃないと思うんだけど、すごい話で描写ではあるんだけど、生命力に満ちた主人公があまりにも生きる努力を惜しまないで前向きなので、見てる方もその気になるっていうか、彼がとうとう、はさまれてた腕を切ろうとナイフで皮膚に切りつけて行く場面で、でも骨にあたってしまって、それ以上は切れないという場面で、思わず「ああ、そうだろうなー、いったいどうしたらいいんだろう」と真剣に前向きに悩んでしまった。「骨はナイフぐらいじゃ切れないよなー」とか。
それで結局彼は、腕をねじって、骨折するのだが、それも見てて思わず、「ああ、その手があった!」と喜んで安心した私は、絶対に変だよな(笑)。でもそう思わせるものが、あの映画にはあった。まあ、その後、腱がなかなか切れないで苦労するとかは、さすがに見ててきつかったけど、でもここまで来たら、もうやるしかないよなあとも思った。
何だか、生きつづけようとする動物を見ているようでした。自分も、そういう生き物になったようでした。
彼は片腕を失った今も、元気に山のガイドか何かを前の通りやってるという、最後のナレーションにもほっとして、気分よくなった。
どういうか、これってほんとに、一人で生きてるものとしちゃ、寓話としてでも楽しめる。あれだけの苦痛に耐えて、何かを切り捨てても、生きのびなくちゃならないときも、きっとあるなと、ちょっと覚悟したりして。
実際、そうやって孤独に死んで行った冒険者や普通の人も、きっと大勢いるんだろうし。
彼はカメラでずっと自分を撮りつづけ、はさまれている間の実況中継をしつづけるんですが、万一死んで、あれを家族が見たら、耐えられない一方救いだろうなとも思いました。そもそも、ああいうメッセージを語りつづけ自分を撮っていたからこそ、彼にはあれだけの力が生れていたのかもしれません。