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春雷。

◇夜になって雨が降りはじめた。庭の草花のためにはちょうどいい。前庭の鉢に植えたビオラは、あいかわらず美しく優雅に風にゆれてて、ほれぼれする。ユキヤナギはあいかわらず、豪勢にのたくっている。カツジ猫の遊ぶ金網の中の庭には、スノードロップが白い花をつけはじめた。このスノードロップも玄関前のグラジオラスも、何だかずいぶん葉が伸びて広がって、大きな草むらになってきている。どこかにクロッカスもあるはずなんだが、まだ咲かないのかな。

車を下りて家に入ろうとしたとき、視野の隅で何かがぴかっと光って、あ、もしやこれは失明の予兆かとびびったら、しばらくして、雷がごろごろ鳴り出して、稲光だったとわかった。人騒がせな春雷だ。

◇今日の共謀罪の講演会は、60人以上が集まって盛会だった。野党の各政党の人たちも来ていた。
開会15分前になっても、まだぱらぱらとしか人が来ず、でも皆がせっせと机やいすを並べるので、女性たち数人で「強気やなあ、こんなに来るか?」と、ささやきあっていたのだが、開始時間直前にあっという間に満席になり、予備の椅子まで足りなくなりそうで、本当にぎりぎりだった。

高平奇恵弁護士の講演は、わかりやすくて、語り口も親しみやすいが、とても詳しいちゃんとした内容で、こういう話の内容をちゃんと聞いて理解する、宗像地域の住民って、相当知的水準みたいなのが高いんじゃないかと、いつもながら思ってしまう。わりと早めに終わって質疑の時間がたっぷりあって、「こういう法律も必要な面もあるんじゃないでしょうか」といった意見まで出ていたのが、うれしかった。最後の閉会のあいさつで、私はそのことに触れて、そういう方々が参加して意見を言って下さるのがありがたいと言った。
その質疑応答でも、高平弁護士はなるほど弁護士らしい、慎重で良心的な回答をしていて、そのことも感心した。

◇私は、そもそも日本をテロの危険にさらす海外派兵を、あれだけ熱心にやってのけ、テロの標的になったら国ごとひとたまりもない原発の再稼働に必死になる安倍晋三が、テロを防ぎたいとか国を守りたいとか思ってるなんて、ふつうの理屈で考えてもあり得ないと思うし、がんばってもたかだか町かビルひとつを破壊して数百人を死なせる(その中に私がいることもあるとしても)のがせいぜいのテロリストなんぞより、総理を侮辱したらいけないとか、国家にけんかを売ったらただじゃすまないとか、昼ひなか酒も飲まずに言える自民党議員の方が国や国民にとってよっぽど危険だと思っているから、共謀罪なんて問題外だが、今日の講演でいろいろあらためてわかったこともあった。

高平弁護士は刑法が専門だそうだ。彼女がくり返したのは、「刑法は、人を罰するためにあるだけではなく、これが罪になるときちんと規定することで、それ以外のことはしても大丈夫という、自由を保障するものでもあるのだ」ということだった。共謀罪の特徴は、その規定がきちんとしていないため、何をしたら罪に問われるかがわかりにくく、表現の自由をしなびさせるのだろうということは、よくわかった。

戦争法のときもそうだったが、ネギもニラも水菜も鉛筆も線香も(笑)皆いっしょくたの束にして出してくるのも今の政府の得意技だ。今回もそうで、相続関係だの何だのと、どこがテロ防止とつながるんだというような雑多な法律がひとまとめになってるらしい。
フロアからの質問で、「絶滅危惧種の保護についての法律まで入ってるが、これがテロ対策とどう関わると政府は説明してるのか」というのがあった。高平弁護士は「一言で言うと、説明していません」と言ったあと、「もし私が無理にこじつけるなら、絶滅危惧種をとらえて海外に売って、テロの資金にする、とかいうことにでもなるんでしょうか。わかりません」と言ってたが、学生に教えてる身としては、あー、そんなこと言ったら何人か絶対、政府がそう言ったと思っちゃう人がいるぞと心配してしまった(笑)。

◇帰りに久しぶりに外食して、その前にちらと聞いたカーラジオでは稀勢の里が大相撲で優勝したのか。すごいなあ。旅先のホテルのテレビで、日馬富士(この人が若くて安馬とか言ってたころから、母はファンだったなと思い出す)が、ど迫力の突進で稀勢の里を突き落としたのを見て、日馬富士も毎日こんな相撲とったら、すぐ優勝だろうなと思ったりした。稀勢の里が肩を痛めたのも気になっていた。千秋楽はどんなすごい勝負になったのか、今からネットで見てみよう。

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カツジ猫