最後のユリ
どうやら今年最後のユリが、天空にそそり立っている。
日中は肌が火傷しそうな猛暑が続くけど、太陽が上がるまでと沈んだ後は少しは涼しいので、その時間内にできることだけを何とか片づける。雨の間にすっかり衰えた奥庭のバラを切り詰めて薬をかけ、通路をふさいで茂りまくっていたハーブを切りまくって道を作った。
庭ではもうカンナが燃え上がっている。グラジオラスも次々に咲く。雨で汚くなったのや倒れたのや、最後の一輪が残ったユリを、切ってきて部屋に飾った。荒れ果てた庭なのに、切り花にしようと思えば、そこそこ何かが咲いているのが恐ろしい。ジャングルの中に住んでるようだ。
気づけば明日は七夕じゃないか。せっかく布袋竹が青々と元気だから、短冊でもつるしておくかな。
「虎に翼」は、恩師とヒロインの一応の和解で上手に収めて、次のエピソードに移ろうとしている。ファンを大幅に減らしそうな問題提起を果敢に行って、深入りせずに賢く通過した手腕は立派なもので安心する。
ただし、感想を見ていると師弟二人の関係を、父と娘の対立という図式で理解し納得しようとしている書き込みがそこそこあるのに、おぞましくって、むしずが走る。私にも恩師と呼べる人は何人かいるし、教え子と言える人も何人かいるが、どんな意味でも父と感じたことはないし、母親とか思われていようものなら、きっと即座に縁を切る。特に同じ分野で研究をしている相手に、そんなべたついた感情を持てるわけないだろ。似たものはあっても、決して同じじゃない。ドラマもそんな風には描いていないと思うが。こういう形での理解って、ほんともう、気持ちが悪いったらない。