朝の冒険
◎非常勤先への成績提出の準備とか、朝から忙しくしていて、ふと気がつくと猫のカツジの姿が見えない。
するっと、どこにでもすべりこむやつですから、押し入れから洗面所、トイレ、書庫、他の猫のいるへや、などなど探してみましたが、文字通りかげもかたちもない。
首をひねりながら、洗濯物を干そうと玄関のドアをあけたら、やつが黒煙のようにしゅるしゅると地をはって、外から家の中にかけこんできました。
いったい、いつ出たかは今もナゾ。
下手すりゃ30分近くは外にいたんじゃないかと思うんですが、あの帰ってきたときの様子を見ると、楽しかったよりは恐くて、早く家に戻りたくてたまらなかったんじゃないですかね。
何しろ無事で、ようございました。(笑)
◎昨日、回覧板を届けにお隣に行ったら、そちらの奥さまから、いつ新しいお家に引っ越すの、お母さまをお引き取りになるの、などなど、質問されました。
何ひとつ、こちらは決めても考えてもいないのですが、まさかそうも言えず結果として、非常に適当に答えてしまった印象で、自分で困っています。実際、何と答えたかもう自分でもよく覚えていないのだものなあ。
「夜に灯りがついていないから、まだ元の家におられるのかしらと思っていた」「暖かくなってから、お引越しされるのかしらと皆で話していた」と言われたのには、もう苦笑するしかない。
じゅうばこさんが居候していて、彼女、昼はわりと中で仕事をしているのですが、格子窓とカーテンで中はあまり見えないので、様子がわからないのでしょうが。彼女、夜は帰りが遅いし、健全な市民は皆寝静まったころに帰宅してるから、なおのこと。(笑)
いやね、私も退職金パアにして、今さら新しく家を建てたのには、それなりの生活設計もあるし、緻密な人生設計もあるわけですが、そんなこと、到底、よその方々に説明できるものではないし、説明してどうなるというものでもないし。
ものすごく、いろいろ考えて結論を出して、細部まで練ったあげくの決断ではあるのですが、ご近所の方々がお尻じゃなかったお知りになりたい、お聞きになりたいようなことについては、実にもう、すべて、笑っちゃうぐらい何も考えていないし、答えようがないのですね、これがもう、すべて。
その落差に、あらためてもう何やら愕然とします。(笑)
周囲が興味関心を持ち、私を理解し承認するよすがや手がかりにしたいと思うことのすべてについて、流動的で暫定的で未知数の人生って、そりゃ周囲は不安でしょうね。昔ならまちがいなく、私は魔女の烙印を押されて、黒猫バギイもろともに火あぶりにされていたにちがいありません。