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桜の花が咲く前に。

◇出すべき手紙をなかなか書けない自分に業を煮やして、昨日街に出てデパートに寄ったときに見つけた、かわいくきれいで華やかな桜の模様のハンカチを、10枚近く買いこんでしまった。これを同封して出すとしたら、桜が咲く前には、私も手紙を書くだろうという作戦だが、自分相手に策を練ってどうする(笑)。しかし、バレンタインデー前に同じことを考えて買いこんだチョコレートが、結局半数近く残ってるからなあ。楽観は許されない。

◇自分に業を煮やすと言えば、昨日出かけた先の駐車場で、よその立派な車をこすった。相手の方はここの駐車場のスペースは狭いからとか、きれいになって返ってくるからうれしいとか言って下さって、大変よい方だったのだが、事故処理に見えた警察の方に車検証を見せようとしたら、車の中のどこにもなく、トランクから何からひっくり返してさがしても見つからず、がらくたの中から掘り出した保険会社のアドレスを頼りに事故の連絡をし、自動車工場に電話して自賠責の保険会社と番号を聞き出し、何とか手続きをすませたが、寒い中に相手の方と警察官を長いこと待たせてしまった。絶対に認知症になりかけの老人と思われてるとあせったのもあって、職業を聞かれたとき、「大学で非常勤講師をしてます」と言ってしまって、うーん私の倫理信条その他の何に照らしても、ここは年金暮らしとか無職とか言うべきなのにと臍をかんだ。かねがね思っていることだから、もうショックでも何でもないが、私は絶対いざとなったら踏み絵をふんで信仰を捨て、仲間の名を言って投獄をまぬがれ、ニワトリの鳴く前に何度でもイエスを知らないと言い、使えるものは肩書でもコネでも何でも利用して脱出用の船の切符を買うだろう。

もう、まるで関係ないけど、そういう自分の限界をつくづく思い知らされている昨今のひとつは、どっかの首相夫人のやることなすこと言うことすること何を見ても、もしも私が理想としてめざすような立派な人だったら、この夫人のことを誰かが「だからオンナがえらそうに、バカをさらしてあちこち出しゃばるもんじゃない。見苦しいったらありゃしない」とか言ったとしたら、心からきちんと怒ってこの夫人のために、女性差別というその一点だけでは毅然と抗議し戦うだろうが、私はとてもそんな気持ちになれないどころか、その通りだよくぞ言ってくれたと思わずにはいられないだろうということだ。そういうのはやっぱりフェミニズムとしてはにせものだろうと思うがしかたがない。これでも韓国の女性大統領のときは、まだそのへんはきっちり考えられたのだが、そもそもファーストレディという存在自体が気持ち悪くて好かんこともある上に、それを利用するのとバカを利用するのと、何重にも私が一番嫌いなことをしてくれるのが、いくら女でも人間でもかばいきれない。顔に小便されてけろりんとしているカエルの方が、似ていてもまだよっぽどかわいいと心から思う。

それで車検証だが、この前エアバッグを修理しにダイハツの工場に行ったとき、係の人に渡して戻してもらったのをそのままバッグに突っこんで、家に持ち帰ったのにちがいないと結論づけて、安心して買い物などして夜になって帰った。食事の後で探してみたが、どのバッグにも入っておらず、またまたキツネにつままれた気分で、いやーもう、もしかしたらと思って車に戻って助手席のクッションを持ちあげて下を見たら、そこに車検証のファイルが昼寝をしていた。
もう、何ということだ。

◇寒の戻りで寒いと言うから、大したことはあるまいとバカにしていたら、ほんとに今朝はみぞれか霰みたいなのが、ばらばら降った。大盤振る舞いをして朝からストーブをつけたので、カツジ猫はその前でまるくなっている。さて、昨日買ってきた本を読みながら、いろんな人に手紙でも書くかな。

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カツジ猫