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水の音。

◇京都の優雅な美しさを、枕の下を水が流れるとか表現したのは吉井勇だったでしょうか。
その優雅さとはほど遠いですが、私の実家は川の傍にあり、いつも水の音がしています。
今、古い方の家に住んでもらっている若い人が、「最初は水の音もけっこう気になって」と言ってたことがあって、その時は「そうお?」と聞き流してしまってましたが、この前、お坊さんがお経をあげて下さるのにあわせて帰ったら、ちょうど大雨のあとだったせいで、川の水かさが増していて、なるほどすごい水音でした(笑)。

そんなに大変な増水ではなく、川の堰を水が越して、中の洲が皆消えている程度のまあ中の上程度の水量なのですが、それでも久しぶりに聞くと、どうどうどうと底深い響きが始終聞こえていて、帰るときも「あれ、エアコンや換気扇のスイッチ、どれか切り忘れてた?」と気になって、耳をすませてしまうほど。
そうか、昼も夜も、この音に包まれて自分は育ったのだなあと、あらためて気がつきました。
大きな獣がのどを鳴らしているような、荒々しい暖かい音です。

◇理研の笹野氏が自殺したのですね。この方のスタップ細胞に関する説明の会見は、これだけ聞いたらどうということはなく、無難過ぎると不信感を抱いたかもしれませんが、その前に小保方氏のあまりに何の内容もない会見を見て、世の中はどうなってるのだと不安になり過ぎていたせいで、ああ、とにもかくにも、きちんと話の筋道がわかる会見がまだ存在するのだ、私に通じることばと論理でこの人はしゃべっていると、安堵した印象が大きく、その点では感謝していました。

その分また、小保方氏の会見の後で「信じられる」と好印象を持った人たちの多さや、笹野氏の会見のあとのワイドショーで「理系の話はわかりにくい」とコメントしていた文系の研究者の発言には、またぞろ世の中が私の知らない世界になりつつあるような、もとからそうだったのを気づいてないのを知らされたような、絶望感と虚無感を抱きました。少なくとも理系文系何の関係もなく、わかりやすい筋道の立った話を笹野氏はしていて、それを信じるかどうかは別として、あれがわかりにくいと言うんじゃ私はどうやってこの人と意思疎通をしたらいいのと、その文系研究者の顔をまじまじ見ていた記憶があります。

少なくともあのような話ができる人が、生きられなくなるような環境や現実とは何だったのかと思うと、船が沈没する前に船内のネズミの群が海へ逃亡する風景を目にしたような、いやな不安にかられます。

◇実家で、叔母の持っていた立派な茶色の花瓶に柔らかいオレンジの鶏頭(オレンジクイーンというそうな)を入れて、仏壇の前に飾ったら、あまりにしっくり似合っているので、思わず花瓶ごと、こちらに持って帰って来てしまいました。
初代猫おゆきさんの命日でもあるので、ランやバラといっしょに上の家に飾っています。
カツジ猫の住む下の家は暑いので、花は飾らないでいたのですが、こうなるとそちらにもほしくなり、ピンクのバラを買って来ました。
そしてキッチンのテーブルの上に置こうとしていたら、前の花瓶をひっくり返し(カツジといっしょに写真に映ってたやつです)床がラグごと、水びたしになってしまいました。

昨夜一晩、扇風機と新聞紙とエアコンで乾かしましたがいまひとつで、幸い今日はお天気が何とかもちそうなのでラグを庭に干しました。せっかくだから、その下の床に掃除機をかけようと思ったら、掃除機を入れている廊下のクロゼットのまん前に、カツジが長くなって寝ています。ああ。


◇今日は広島に原爆が投下された日です。その追悼と平和への祈りをこめて、今日の18時から、宗像市のユリックスで「第14回8.6むなかた平和のつどい」が催されます。ハーモニーホールで、入場は無料です。17時半には開場です。20時に終了予定です。


布しばい「海をわたったヒロシマの人形」と、津屋崎少年少女合唱団の合唱があります。
講演は岸本伸三さんの「被爆二世として、してきたこと、そして、今おもうこと」です。


暑い中ですが、69年前のヒロシマの暑さを思い出しながら、私も参加したいと思います。
お誘いあわせの上、ご家族ごいっしょにでも、どうぞぜひ、おいで下さい。

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カツジ猫