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浮かれてないなあ

故カツジ猫(古活字猫と変換しそうでびびるわい)も書いていますが(笑)、七十九歳の誕生日を祝して、福岡市動物園に初めて行って来ました(水族館にはずいぶん前に一度行ったことがある)。
 植物園も併設されてるので、そっちも見ようかと楽しみにしてたのですが、行ってみたら、動物園だけでも相当広くて、老婆の足では到底回れず、ゾウやキリンは、遠くの山上?から見ただけで満足しました。いやー、遠景で見るのもまたなかなかよかったんですよ。
 ゾウ、どこにいるか、わかります?(笑)

これは最初に撮ったヤク(多分)。

やたら動き回るので、めちゃくちゃ撮りにくかったヒョウ。

これ、一番高い台の上で休んでた、多分オランウータン。上から見下さないとわからない。とはいえ、写真で見てもわからんよね(笑)。一番左の台の上にいるんですが。

ライオンとトラは絶対見たいと思ったのに、けっこう迷路っぽいので、通り過ぎてしまって、最後にへとへとになりながら、やっとたどりついたもんですから、檻の前で、ちょっと足を踏み損なって、こけたりひねったりはしませんでしたが、ちょこっと足の裏を痛めました。数日痛みが残っていて、そう言えば日本シリーズで優勝したホークスの選手会長の周東選手が、少し前の試合で足をどうかしていて、それでも「足はぐねっていても、他の人よりは僕の方が速い」とか言って出場していたのを思い出し、あらためて、よく聞いたらすごいセリフやなあと感心しました。よく言えるもんだというか、それをチームメイトもファンも報道も、誰も突っ込まないで普通に認めてしまってるのがまたすごいというか。

彼の成長やら活躍やら選手会長としてのキャプテンシーやらは、誰もが認めてほめそやしてますが、まあその通りに、このシーズンの活躍もさることながら、二度も骨折したの、息ができない夜も眠れないほど折れた肋骨が痛かったの、治療が痛くて注射する人を殴ろうかと思っただの、そんなのまったく感じさせない楽しそうな笑顔で皆と跳ね回っていて、あとになって言われると、ときどき思いますが、どういう人かわからなくなる(笑)。

私自身は、そうやって自分を犠牲にして痛めつけてチームのために貢献するのも、「あのときは大変だった」と、あとで語るのも、どっちかというと嫌いです。というか、でした(笑)。ただ最近ではだいぶ考えが変わって、そのくらいはっきり言わないと、わからないやつは、ほんっとうにわからないから、やっぱり言わないといけないかもと思い始めています。それどころか、周東選手の、これだけ過不足ない、明確なコメントでも、Yahooの感想では、まったく読み間違えて批判してる、きわめつきのバカも数名いて、私は危なく「読解力も想像力も羞恥心もゼロとわかるようなことは書かない方がいい」と返信を書き込みしかけて、すんでのことで思いとどまりました(笑)。とにもかくにも、山本周五郎の小説みたいな精神は、絶対もう伝わらない世の中になっているのは、さすがに認めないわけには行きません。

ホークスで言えば甲斐捕手などは、あまりそういう苦労話は口にしなかった方だと思うし、牧原選手は恨み言や愚痴めいてちょこちょこ言うのが、いい味になってるようですが(笑)。そうか、柳町選手もほとんど、というより、まったく言いませんね。それこそ大谷選手も言いそうにない。まあ、このシーズンの周東選手ほど、ひどい目にあったことはまだないからかもしれませんが。

私がもうひとつ、変なことに感心するのは、明らかに往年の「巨人の星」ばりの、ものすごい今季の所業を見て、さらにこんな裏話を聞けば、聞いた方は、なんか「鬼気迫る」感じになってびびると思うのですよね。周東選手の場合、そういう雰囲気がまるでない。泥臭さも深刻さも汗も熱血もなく、妙にさらさら明るくて軽い(ほめてます、一応)。
 よく引き合いに出される昔の話で(大したことでもない)エラーでベンチで涙し、その夜は「このまま死ぬんじゃないかと思った」(しかし、言うかね、それも)そうだから、激しいし感じやすいし傷つきやすいし、それをちゃんとあらわにしてるのに、なお悲劇的でないし、陽キャという認定になってるのは、何なんでしょうか。

日本シリーズでは満身創痍と言われながら、一試合ヒット五本の日本新記録をたてた時私は「まあ、そりゃ彼は今年ずいぶんひどい目にあって来たから、このくらいのごほうびはもらっていいよね」と、とっさに考えたのですが、その後に怪我のひどさの実態を聞くと、まだごほうびが足りないかもと感じます。まあ優勝が十分なごほうびと彼は思っているでしょうけど。(この七十五年だかの長期間破られなかった日本新記録樹立を、翌週のサンデーモーニングが、日本シリーズの特集をしたとき、完全に無視して一言も触れず、阪神の敗因とかばっかり話してたとき、私はつねづねその報道姿勢は信頼し支持していた、この番組の適当さといいかげんさを見た気がして、すっかり不信感を抱くにいたりました。ホークスやパ・リーグや周東選手に失礼とかいう以前に、日本シリーズと日本のプロ野球をなめすぎてませんかね。)

実は、もう勢い余って超ばちあたりなことを書きますが、周東選手が何度もデッドボールをしかも大事な足や傷ついていた場所に受けて、倒れたりもがいたりひっくりかえったりかろうじて起き上がったりしている時、見ていて気の毒と思いながら、そのひとつひとつの動きの美しさに、大きな鳥や立派な鹿が撃ち落とされたのを見ているようで、思わずうっとりし、罪悪感にかられ、こんなことは優勝でもしてからでないと、絶対に口にできないと思ったものでした。優勝したって、こんなこと書くのは許されないかもしれませんが、そう感じた人は、もしかして他にもいたのではないかと思います。

などという話は早々に忘れていただいて、私が優勝後の祝勝会やインタビューで、つくづく感じたのは選手も監督も関係者も、誰もまるで浮かれていないということでした。(杉山投手はそうでもなく、心から楽しそうだったし、それがほほえましかったけど。)誰も彼もが、自分は何もしていない、他ががんばってくれたから、と、あの柳田選手でさえ、思っているようだったのが、とても印象的でした。
 たしかに、誰もがここぞという時に活躍した一方で、自分以外の誰かがいなければ負けていた、優勝はなかったと、骨身にしみて感じているようなのが、珍しかったし、マジで心を打たれました。実際そうだったのだろうし、それを全員が感じているというのも、このシーズンの特徴だし、財産だったと思います。
 前にも書きましたが、こんなチームを作ったのは、やはり選手会長の力だと私は思っています。

やれやれ、長くなりすぎました。サンデーモーニングに典型的なように、あまりにもパ・リーグと日本プロ野球を軽視した報道にムカついて(ほんともう、阪神に恨みはなく、好きなチームではありますが、いったい報道機関は何をしたかったんでしょう。阪神が優勝して道頓堀に飛び込む人の映像でも流すのを楽しみにしてたんでしょうか)、少し遅くなったけど、私の乏しい記憶や感想だけでもフル回転して、ホークスの優勝について語ってやろうと思っていたのに、序盤でこれだけ長くなったら、どうしよう。ヒマもないのに(笑)。まだ栗原選手や山川選手、川瀬選手や柳町選手、その他についても話したいのですが、しょうがない、今日はここまで。あとはぼちぼちまた書きます(書くんかい)。

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カツジ猫