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消えた声

夕食後、いろいろ仕事もあったのに、ついベッドにひっくり返って、周木律の「教会堂の殺人」を読み始めたら、とまらなくなって一気読みに読みあげてしまった。シリーズの折り返し地点だからか、これまでの一種格調高い重厚さをかなぐり捨てて、ある意味、ハリウッドホラー映画かパソコンゲームみたいな、スピーディーであざといというか、みえみえの展開の引っ張り方なのだが、それがわかっていて、あきれながらも、くやしいけど、乗せられてしまった。まあこの一見カルイ調子が、内容の深刻さや悲劇性をほどよく薄らがせているのも作者の計算なのだろうか。
解説で、「数学が全然わからなくっても楽しめるからまったく心配ない」みたいなことが書かれていて、そのとおりだから笑ってしまった。

暑さはいっこうに衰えない。夕方や朝は、ちょっと秋の気配を感じるような風が吹くこともあるのだが、もうそれっきり。洗濯物があっという間に乾くのと、コンポストの中の生ゴミが速攻で腐って土になってしまうのとだけは、ありがたいけど。

そして、気のせいかもしれないが、今日は庭のキナモチでにぎやかに鳴いていたセミの声がしないようで、やっぱり私がうっかり踏んで死なせてしまったクマゼミは、このところずっとキナモチの木で鳴いてたセミなのだろうかと思うと、落ちこむ。今朝、おいてやったハーブの鉢の中を見たら、もうアリもいなくなってたので、写真を撮っておいた。見れば見るほど、立派できれいなクマゼミで、くやしい。

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カツジ猫