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火中の哄笑。

◇最近髪が妙にぼうぼうとまとまらないので、くさっていて、少しジムにでも行って身体をすっきりさせないと、ものすごいみっともない老婆になっちゃうぞとあせっていたら、数日前にふと、美容院で買ってそのまま忘れていた、ちょっとだけ上等のシャンプーで洗ったら、わりとまあ何とかかっこうがつくようになって、やっぱりシャンプーの効力は偉大だなと感じ入りました。が、おかげでまた、ジムに行く気力が失せて、いかんなあ。

◇やっと昼間に時間がとれたので、「パディントン」の映画を見てきました。吹き替えしかなかったのが残念でしたが、映画は楽しかったです。原作通りのクマのはちゃめちゃな行動もよくできていたし、中身自体はまあ罪のない話なのですが、「あの国はよその人を受け入れてくれる」などという何でもないせりふが、難民問題でいやーな感じになってる日本で見ると、妙にずしんと感動しすぎてあやうく涙ぐみそうになりました。
悪役も(ニコール・キッドマンが楽しげにやっておりましたが)、その生育歴や設定が、ある意味ものすごく泣かせます。善意が敗北すると、それをまちがった教訓でとらえた結果のすさまじい悪意が生まれるという図式が強烈でした。
パディントンをひきとってくれるブラウンさん夫妻のカタブツのだんなが、「昔は過激だったのよ」と、家政婦さんが語る回想シーンで、夫婦(当時は恋人)がバイクに乗って、ステッペンウルフの「ワイルドで行こう」の音楽がかかる場面で、それらしすぎて噴き出してしまった。「イージー・ライダー」をその昔、映画館で観たとき、あの曲が一番好きだったのを思い出してしまった。

◇今日はひさびさに大学の研究会に行った。今度翻刻しようと思ってる紀行の作者が何者かわからなくて、詳しい後輩(といっても立派な研究者)に聞いたけど、彼もわからなくて、私が「あんたがわからないなら、まあ何者か不明と書いておいても、そう恥にはなるまい」と安心したら、彼は「いや有名かもしれませんよ」とあせっていたが、多分そんなことはない(笑)。

◇それにしても、女性の三大臣がまとめて言うのもいろいろ何だが、バカな発言をするわ、産休とった議員が不倫でやめるわ、株は下がるわ、どうせ年金の財源もすり減ってるわと、北朝鮮のミサイルなんか心配してる場合かと言いたいぐらい、国全体が行き詰まっているこの現状は、本当は落ちこんで脅えて絶望するのが健全な反応だと思うのに、まだ内閣を支持するのもやけになってるとしか思えないが、どこかでアベ政治の終焉を見ている思いで快哉を叫びそうになってる私も、健全とは言えないよなあ。この倒錯した心理を何としよう。ほらほら、「七人の侍」の映画で、野武士の砦に侍たちが奇襲をかけて火をつけたとき、さらわれて慰安婦にされてた村の女が、火の中で狂気の目で笑うじゃないですか。小気味よさそうに、満足そうに。今の私の気分って、あれに近いのかもしれません。

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カツジ猫