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現実逃避もしたくなる

今日はすごく暖かで、コートもジャケットもいらないぐらいだった。これならと、冬服の数々をクリーニングに出し、たまった洗濯物を片づけ、いくつか来ていた請求書を銀行で支払い、冷蔵庫の食材を処分しがてら、あれこれ怪しげな料理を作っていたら、いいかげん、ばてた。

実はそろそろ上映が終わりそうな「オッペンハイマー」を思い切って昨日見て来た。ひきしまって無駄のない、硬質なようで豊潤な、要するに大変いい映画だった。感想はまた明日にでも。いやー、書けるのかな。ほんと、面白かったんだけどね。「ゴジラマイナス1」の面白さと比べると、何かこう対極の面白さなんよー。どう言ったらいいのかしらん。まあ、また明日。

大相撲も高校野球も終わったから、せいぜい仕事にはげめると思っていたら、そろそろ縁を切るとか言ってたプロ野球についつかまって、横目でちらちら見てしまう。おまけにパソコンでジグソーパズルの無料で遊べるサイトを見つけたのが運の尽きで、ついつい時間をつぶしてしまう。我ながらどうしてくれよう。地域の方との江戸の俳書を読む会もだんだん楽しくなるし、授業もそろそろ始まるから、その準備もしなくちゃいけないし、どの仕事も皆好きなのだが、時間と体力がついて行かない。

今日は暖かだったから、奥庭のすみっこの、文字通り猫の額ほどもない一角をちょっとだけ草取りした。それだけでもだいぶすっきりなったが、とてもペースが追いつかない。どうも私は人生も結局こうやって、あー、あれもしたいこれもしたいと思いながら死ぬんじゃないかと最近とみに実感している。

この前、「ゴジラ」を見に行ったとき、予告編で、ゴジラとキングコングが協力して敵に立ち向かうという、頭の痛くなりそうな映画の予告編をやっていた。マッサージに行ったとき、スタッフのお兄さんにそれを話すと、「それはちょっと、あんまり見たくないなあ」と言われるので、「でも、あれは見るなら映画館で見ないと、あんなもん、DVDのちっさい画面で家で一人で見たらわびしすぎるじゃない」と言うと、「あー、それはそうですね」と賛成して下さった。「私はあんまりちゃんと熱心にゴジラの映画を見てるわけじゃないけど、友人でかなり詳しい人がいてね、その人に言わせると、なんか、人食い花みたいな怪物と戦うやつが、一番つまらなかったって」と話すと、お兄さんは「ありましたね、そう言えば。えーと、ビオランテでしたかね」と恐ろしく詳しい知識を披露した(笑)。
 行きつけの花屋さんのオーナーにもその予告編のことを教えると、「それ、わりと見てみたいですね」と言っておられた。そう言えば、わりと気味悪いものがお好きだったんだよね、たしか。人にそうやって、たきつけている内に、ミイラ取りが何とやらで、私もだんだん見たくなって困っている。

「オッペンハイマー」だが、ほんといろいろ書くことがあるのだが、たとえば天才科学者の主人公が、研究に打ち込みつつ、政治にもまきこまれ、その中で大量殺人兵器を作ることについて、懸命に思索し模索し、答えを出そうとして行くのを見ていると、そして彼の理想や目標がどんなに実現が困難だったかという歴史の濁流を見ていると、生きることの重さに目まいがするようだ。そんな心境のときに、もう、どう考えてもそんなこと何も頭になさそうな首相が、ちゃかちゃかひょいひょい日本の未来や世界の行く手を決めて行くニュースをくりかえしくりかえしニュースで見せられるのが、あまりに醜悪で軽薄で絶望的で苦しくなる。ジグソーパズルに逃げ込むのも、ひとつにはそのせいかもしれない。まあもちろん、そういうことではいけないのだが。

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カツジ猫