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田村智子さんの質問

テレビの国会中継で、共産党の田村智子さんの質問の内容の深さ、きめの細かさ、格調の高さ、品のよさ、心のこもったあたたかさ、鋭さ、激しさ、力強さと、いろいろほれぼれうっとりした。もう何かほとんど、かゆいところのすべてに、ぐいぐい手が届く極上のマッサージを受けた気分で、表皮から内蔵までがよみがえって血行がよくなった。共産党の新しい委員長になるそうだが、いっそもう首相になってほしい。

現首相(最近もう顔を見るのも声を聞くのも名前を書くのもいやになった)の答弁は例によって、すかすかの、よれよれの、すっからかんだったが、ひとつ同情しておくと、言ってることのほとんどすべてが、「もう聞いたよ、知ってるよ、何度同じことくりかえすんだバーカ」というしかないのだが、考えてみると、これは首相のせいと言うより、テレビやラジオでニュースやワイドショーが、毎回同じことをしつっこく紹介するから、こっちはほとんど暗記するぐらいになっていて、おかげでかけらも新鮮味がないのだ。

言いかえれば報道がいかに政府と首相の代弁者となって、彼らの言い分だけを垂れ流しているかってことで、田村さんに限らないが、野党の主張や情報は、かけらも一般に届いていないってことだ。田村さんの質問の中でも、ASEANがどんな活動をしているかも、経済関係の経営者たちからも男女別姓が支持され要求されはじめていることも、私はよく知らなかった。
 そりゃ富裕層だって大企業だって、男女別姓が今のままだったら、世界で仕事がやりにくくなるのは明らかだし、彼らは良心がなくても金ともうけのためなら魂も売るだろうと思うから、その動きはもっともだと思う。
 それでもかたくなに、この問題に顔をそむけ、改憲や防衛に比べれば、よっぽどちゃっちゃと実行できるはずの、この変更に手をつけられないのはもう多分よっぽど統一教会からの要望を死守しないといけないんだろうとしか思えないんだけど、どうなんですかね。

その後、立憲の田島議員(女性です)の質問で、麻生太郎の発言に抗議しないのかと聞かれた上川大臣(女性です)が、ぬめっと、ぬるっと、あたりさわりのない、でも女性を徹底的に苦境と絶望に落とし込む回答をして(自分のことを麻生氏が「美人じゃないが有能」と評したことについて、「人にはいろんな見方がある。田島さん、いっしょに女性のためにがんばりましょうね」などとぬかした。耳を疑う)、いったい国中の社会や会社や家庭で、この発言と態度が、どれだけ女性というか人間の生き方を苦しくするのか、考えてもいないのかと、ただ怒れた。この方の外見がイグアナだろうがクレオパトラだろうが、首相には絶対ふさわしくないと確信した。河野太郎に匹敵する、だめな首相候補と私は判断した。

あんたの世代なら、下積みなら、そういうやりすごしも、ごまかしも許される。しかし、それだけの位置にあって、影響力もある身なら、もうちょっと責任感じたらどうなんだ。仮に美人じゃないのなら、それこそ最高の武器じゃないか、こういう時は。いろんな事件の被害者やなんかが美人なのは、それなりにプラスにもマイナスにも働くし、支援や攻撃それぞれの反応を生む。同様に美人じゃないならそれなりに、そういうことを攻撃する発言に明快に不快や怒りを示すことは、美人にはできない攻撃力と成果も生むのだ。

それこそどんな外見であれ、こういうかたちで、ぬめぬめ対応して来た人だからこそ、美人やかわいいと言われる数々のしょーもない女性議員と、まったく同じように自民党のじいさんたちから、かわいがられて見逃されて来たんだろうなと、しみじみわかる。
 田島議員も上川大臣から、こんななめた回答されて、呼びかけられて、笑ったりすんなよ。せめて、むすっとしておけよ。つくづくもう、情けない。

まあそりゃ私だって、子どものころからずっと、お笑い芸人のノリで、デブだの団子鼻だのと周囲に言われつづけて、しかもそれが支持や人気や愛情とまるっと重なっていたから、対処は難しくて、結局せいぜい利用して甘受して、楽しく自分の地位を確立してきたからね。人のことは言えんかもしれんけど。でも、実力の場で仕事仲間から、そういう扱いされたときは、絶対相手を許さなかった。ただ忘れないで、ただ内心で最低評価をつけているだけだけど。

今でも理由がわからないのに樹木希林とかどうしても好きになれないのは、そういう思い出が処理しきれてないからかもしれない。宇宙飛行士の向井千秋さんと似てると言われると死にたくなるほどおぞましいし、あの方の発言や発信や表現のすべてが、見ていて胸が悪くなるほど嫌いなのも、きっと同じ理由なんだろう。

ちなみに、美男子はもちろん、美女への反感はまったくなく、「美人って得よね」といきなり連帯を示されると、いろんな意味で、これまた超不快。むしろテレビやその他のバラエティーなんかでは、男女を問わず目の保養をしたいから、できるだけきれいな人を見たいし、あんまり汚い顔を並べてほしくない。最近もう、ただ顔のきらいな芸能人が一人ふたりいるんだけど、映ったとたんにチャンネル変えてる。国会やニュースとは話が別だ。

とか何とか適当なことを考えてだらだらしてたら、「むなかた九条の会」でいっしょに活動していた、ほぼ同年輩かちょっと若い方が亡くなったという知らせが来て、これまた絶句。「赤毛のアン」などよく読んでおられて、楽しくおしゃべりしていたし、沖ノ島の女人禁制問題でもいっしょに反対活動したりしてたのに。
 いやはや、時は流れるなあ。もはやそれしか言いようがない。

 

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カツジ猫