神妙。
◇中学生の上村さんを殺害した犯人の少年の父が反省しているのを報道するのに、あちこちで「神妙な顔で」みたいに「神妙」が連発されてるのは、どういうんだろうなあ。すごく微妙な語感ではあるが、私の感じではこれは何だかバカにして「今さら何だよ」と言ってるような、あるいは、表面的にはかしこまって見せているが本心はどうだかわかったものじゃないと言ってるような、どっちにしても反省している加害者の親のことを報道するのには書く側の感情が入りすぎてる言葉だと思うが。
この父親が最初に「息子は絶対そんなことしない。弁護士も雇った」と言ってたのに反発してるのかもしれないが、それは親として珍しいことでも不思議なことでもないでしょ、そんなに。いつものことだが、今回の事件でも被害者加害者両方の親に「とるべき態度」「とるべきだった態度」を、十分な資料もないまましゃべくる人が多すぎる。
もう何十年も前のことだが、当時うちにいた初代猫のおゆきさんが、近所の猫と大喧嘩し、相手の猫の家のおばあさんが割って入ろうとして、ゆきにかみつかれて大けがをし、おわびに行ったら腕に包帯をされたおばあさんの横で若い娘さんが狂ったように泣き叫んでいて、私はひたすら謝って、即、遠くの町に家を探して引っ越した。
その時のことを思い出すにつけても、私はこういう時に加害者の家族にどんな敵意も反感も持てない。自分が被害者になるかもしれないと思ったら、被害者の家族にももちろんだ。
◇林真理子も週刊誌のエッセイで、被害者の母に言わでもの説教してると聞いたので、いやいつの間にそんなキャラになったんだと思った。曽野綾子同様、私は彼女の書くものには、いろんな点でぞわぞわするが、それなりに面白いと思うこともあって、けっこう作品を読んでもいる。
今朝DVDを返しにコンビニに行ったついでに(期限を過ぎても翌日の朝10時までなら、ここのボックスに放りこんだらセーフになる)、週刊誌を立ち読みした。思ったほどひどくはなく、まあ要点をかいつまめば怒っている人たちの言ってるような内容になるだろうが、母親に「愛人より子どもを優先しろ」とか言ってるのは一般論だし。
ただ、今の女性、特に若い母親がどんなに苛酷な条件下で子どもを育てているかについて、まったくふれていないのは、確かに気にはなる。まさか知らないってこともないだろうに…知らないのかな、ひょっとして。
同じ週刊誌に上村さんや加害者の少年のこともいろいろ載っていた。私は前に、上村さんがなぐられたことを友だちの少年たちが加害者宅へ抗議に行ったことを、せめての救いと、このブログでも書いたけど、それは少しちがっていて、不良少年グループの対立がからんでいるということだった。こういうのを読むと被害者自身も、そう言ったさまざまな対立しあう人間関係の中で、必死でがんばっていて、言い方はまちがっているかもしれないが、けっこうたくましく生きようとしていたのかなと感じたりする。そのことが、なおやりきれない一方、またしても言うが、どこかで救われる思いもする。
どっちにしろ、この時とばかりに、誰もがいろんなことを言うので、それぞれの人の性格や考え方があらわにはなるなあ。たまたま乗ったタクシーの運転手が、加害者の母親だっけかがフィリピン人だったことを下品なことばで攻撃していて、聞いているだけで落ちこんで、つらかったと書いている人もいた。同感だが、私だったら「いやーでも、知り合いの警察の人に聞いたけど、あのお母さんはフィリピンの王族の血を引くお姫様らしいよ」とか、まことしやかにぺらっと言って、その運転手さんがデマを広げるように画策しそうで、その誘惑に耐えられるかどうか、ものすごく自分に自信がない。
◇バレンタインのチョコをあげた方から、まったくそんなつもりはなかったのに、お返しに大きな立派なロールケーキをいただいてしまった。食べてみたら素朴なのに上品な味で超おいしい。体重がリバウンドしそうで恐い。
別の方からは、とれたてのネギと春菊もいただいて、目下私の食料はものすごく豊かになっている。なぜか、最近いつも行くスーパーでは、バナナの大房が198円の特売で、きゅうりも3本98円と、一時期に比べるとかなり安くなり、どうせアメリカかオーストラリアだろうと思っていた例のステーキは確認したらちゃんと国産牛肉で、それも引き続き2枚で800円と、やっぱり安く売っているので、どれもついつい買ってしまう。
◇確定申告と文学講座が何とか終わって、しばらくだらっとしていたが、明日からいよいよ上の家の片づけに取り組まなくては、もういいかげん散らかってるのがいやになった。
それでなくても、明日はいろいろすることがあるので、今夜こそ早く寝ないと。ああでも、書きたいこともやりたいこともまだまだ山ほどあるんだけどなあ。