私の宿題(続き)。
◇猫のトイレの掃除は明日の朝まで待ってもらうことにして、水だけやって来た。にしても、私は黒猫バギイの好物の乾しカマスライスを買うのをまたもや忘れてしまったなあ。
◇さて私は知る人ぞ知る(笑)「本命・アナ馬・対抗馬」という図式(http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~itasaka/jugyou/bungaku02.html)にあてはめて、八犬士の描きわけを学生に教えて各自の性格のちがいを説明したんですが、これにあてはめるとわかりやすいのか、皆それにのっとって、更にいろいろつけ加えてくれていて、それが実に面白かったのよん。
わりと前半の主役の犬塚信乃を、私は「主役はあまり読者とかけはなれていてはいけないから、普通の人っぽいとこがある」と説明したのですが、それを受けて、「たしかに信乃は、しょうもない失敗をいろいろしているが、それは愛されキャラのドジっ子だからだ」と書いた学生が何人かいたこと。そうか、「愛されキャラ」の「ドジっ子」なあ。つまり信乃は「デスパレートな妻」だったらスーザンの立ち位置にあたるのか。何か、わかったような気がするのがちょっと恐いけど。
犬川荘助(額蔵)を私は「主人公に絶対忠実な優等生」の役割として説明した。それで私は、ついでに「私(板坂)が一番好きなのは誰か当ててみ」という、点数にはならない設問もしておいたのだが、これはもういろいろで、「どうせまともな人は好きなはずないから道節だろう」という意見もあったが、一番多かったのは、この荘助で「説明してる時の熱気がちがった」のだそうだ(笑)。
あー、私、中公新書の「平家物語」でもよく重盛が好きなんだと思われたんだよなあ。ネットで感想書いて下さってる人たちも、わりとそう思ってたみたい。そりゃ私は「トーマの心臓」のユリスモールだの「グラディエーター」のマキシマスだの「トロイ」のヘクトルだのってこういう優等生タイプについて熱をこめて語りはするし、もちろん好きではありますが、それはねー、最近の世の中でこのタイプの人気が落ちてるのをけしからんと思ってる布教精神もあるからであって、どの作品でもどの状況でもいつも常にこのタイプが好きというほど、好みは一貫してないのだよ、すまん。
でも、それとは別に荘助が好きって人もかなりいてくれて、それはそれで、とてもうれしい。
小文吾も大角も親兵衛も、皆それぞれに好きという学生がいたのもうれしくて、でもやっぱりしょうがないんだろうけど毛野が好きという人は、それこそ熱気がちがった(笑)。また、そうでなくて初めて読んだ人でもファンになった人がけっこういて、これまた、美しい娘の姿をしていて、やたら強くて冷酷、という二面性がウケるという意見が多く「いわゆるギャップ萌えというやつ」と数人が書いてたけど、私知らなかったよー、この言葉。ギャップ萌えね、なかなか使えそうじゃんか。言葉としても技能としても(何を考えているんだか)。
小文吾がちょっと苦手な理由として「玉を口にふくむのが汚い」と書いた人がいたのは、きれい好きの今の時代ならではかなあ。笑った。それと道節が嫌いな理由で、「村雨丸を持ってって返さないのはよくない」「火遁の術で民衆をだまして金を巻き上げるなんてやっていいのか」という意見があって、どちらも納得しつつ笑ったのだが、でも思わず考えこんだのは、このどっちも、特に後者は馬琴の勧善懲悪の基準に照らすとたしかにちょっとひっかかるよなあ。そして馬琴はこのこと何か作中で言い訳してたかしら、と気になってもう数か月、まだ私チェックしてないのだけど、何も書いてなかった気がするのよねえ。覚えてないもん。
でもこれってかなり重要な問題だって気がするのだけど。どうも馬琴は道節(と毛野)には、ちょっと甘い気がしないでもない。ひょっとして、これで論文とか書けないか? 卒論ぐらい書けやしないかしら、と思ったが変なことけしかけると専任の指導教官の先生が苦労なさるから、あんまり言わない方がいいか。
でも、そうなのよ。これも自分で調べようと思いつつ、結局時間がなかったのよ。こーゆーイライラが積み重なるのよ、だんだんと。
で、私の好きな犬士なんだけど、ちょっとまた一休み。もしかしたら明日になるかもなー。今夜は早く寝たい。