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穂高教授、あんたは幸福だ

今朝の朝ドラ「虎に翼」で、恩師の穂高先生にヒロインの寅子がとった態度がひどすぎる!と話題になってるようだ。

これは、超難しい問題でねえ。そこを見逃さないのは、このドラマの本当に立派なとこだと思うけど。

つまり「敵の中の味方」に対して、どの程度感謝するか妥協するかってことで、私も何度か遠回しに、このことについて書いたことがある。「情けあるおのこ」の第三章の「理解ある警吏たち」とか、もうその問題のオンパレードだ。

憎ったらしい、許せない敵と戦うのはまだやさしい。敵の中で孤軍奮闘して、こちらを守って、こちらのために戦ってくれている人への不満や怒りを、どう処理したらいいのか。その人をいたわり支えるべきなのか。うまく甘えてとりなして、もっと犠牲を払わせて、更にこちらの方に引きずりこむのか。限界を知りつつ、淋しく妥協し別離して、自分の道を歩むのか。私の悩みはつきなかった。あらゆる局面で、あらゆる段階で。

寅子のあの穂高教授へのまっすぐな怒りと抗議は、私にはできなかった誠実で強い信頼と愛だ。彼女は教授を甘やかさなかった。あきらめなかった。見限らなかった。
 私にはあれほど相手を信頼できなかった。男性を。人間を。

穂高教授はその点、本当に幸せな学者で教育者だと、心の底からそう思う。花束渡してにっこり笑って満足させて、傷つけないで死なせてやるなんて、そんな失礼なこと、残酷なこと、師をなめくさったことができるかよ。そうしとけばよかったのにと言っている人たちの生ぬるさと甘っちょろさに、冷たさと無神経さに、嫌悪と恐怖と反感しか今の私は感じない。したり顔で寅子にお説教してる人たちの顔のどまんなかを、ずっとはいてなかったハイヒールを下駄箱の奥から探し出して、それはいて、ぐりぐり踏みにじってもまだ飽きたらない。こんな怒りをぶつけるほどには、まだその人たちを好きらしい自分にまでが腹が立つ(笑)。

やれやれ。家の片づけにかかるかな。今日が勝負のはずだったのに、もうこんな時間とは。

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カツジ猫