窮鼠でもないくせに。
◇朝っぱらから毎日新聞に、麻生財務相が小樽市の自民党支部大会で、「90になって老後が心配とか訳のわからないことを言っている人がテレビに出ていたけど、『お前いつまで生きているつもりなんだ』と思いながら見ていました」と言ったという記事が出ているのを見て、うんざりしている。
国の最低限の社会保障がちゃんとしてれば誰もそういうこと心配しないだろうよとか、あんたこそいつまで生きてるつもりだよとか、言いたいことはさまざまあるし、どうせジョークだよとか弁護する人もいるんだろうが、一つだけ言っておくと、私がアベさん橋下さん石原(慎太郎)さんはじめ、今の指導者の人たちに強烈に感じる違和感のひとつがこれで、庶民がジョークや本音で言っていいことでも、権力を持ち上に立つ者なら言ってはいけないしてはいけないことがあるという、「上に立つ者」の感覚が決定的に欠落してるよね、この人たちは。
ものすごい力を持っているくせに「弱者の論理」を平気で使う。窮鼠でもない大トラかゴジラのくせに、ちっこいもののように牙をむく。そこが一番、救いようがない。
若者の苦しみも老人の苦しみもわからない、それを恥とも思わない、この人たちに国も未来もまかせる気にはとてもなれない。真剣にそう思う。
◇トラと言えば、こちらはほんとに窮トラかもしれない阪神がソフトバンクに一勝した。実は先日、授業の中間レポートの課題のひとつで、「最近のニュースを何でもいいから一つ取り上げて、決まりきった枠にはまらない、自分の印象を記し、分析せよ」というテーマを与えた。紀行を書くときの作者の視線を実感してもらうための課題で、いろいろ面白かったが、出色だった一つは、自分は父譲りの巨人ファンでソフトバンクが大嫌いであると述べ、その理由を情熱をこめて理路整然と書いていた力作で、大変説得力があった。ほんとは授業で紹介したいが、書いた本人はしてほしくないと言ってたようなので、ちょっと残念だ(笑)。