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節分の夜。

◇今日は歌舞伎を見に行った。寒くなるということだったが、割とお日様も照っていたので、車で出かけた。こんな時しか着られないからと、叔母の遺した上等の毛皮のコートを着て行ったら、どこかのダルメシアンでもさらいそうな、悪徳女実業家に見えた。でもものすごく暖かだったから、助かった。
歌舞伎は今日は昼の部だけ見て、夜はまた別の日に行くことにしている。昼の部は「磯異人館」と「お染の七役』で、どっちも楽しめた。七役を演ずる七之助はきれいで、うまかった。

◇舞台の最後に節分とのことで、役者の皆が豆まきをした。それで豆を買っていたのを思い出し、帰ってからもう暗くなってきた庭にまいた。最近のはやりにならって、「福は内、鬼も内」と言いながらまいた。だってうちには、壁に飾った立派な鬼の面とかあるんだもんよ(笑)。

◇私が学生の授業評価をあんまり信用できないのは、何度も書いたことだが、授業の感想など書かせると「○○ということがわかって、とてもよかった、ためになった」とか書いてる人がいて、その○○とは私が授業中ずっと「○○ではない」と主張し証明し強調していたこと、という場合がときどきあるからだ。他の先生で同様のことをぼやいてた人もいたから、あながち私だけではあるまい。

この場合「○○ということが」と、ちゃんと書いてくれてるから、全然わかってなかったんだなということがわかるから、まだいいのだが、授業アンケートなどでは、そこまでは書かないから、こういう学生は、ただもう私の授業がすばらしくてよくわかってためになったと、最高点をつけるだろうし、それがそのまま評価になるのだ。とんでもないことである。まあ、中身を書かれても、それが他人の目にふれたら、それも恐いけどね。私が「ナチスは正しい」とか「詩織さんはレイプされてない」とか「憲法は変えるべきだ」とか、声を枯らして力説してても、「ナチスはまちがっていて、詩織さんはレイプされて、憲法は変えなくてもよいのだと、この授業でよくわかりました」とか言われてごらんよ、世が世なら私は監獄か絞首台行きだぞ。

そういう恐れを日夜抱いているから、今回初めて「私のしゃべった内容を、そのまままとめてみて下さい」という課題をレポートに出したのだが、仮提出で出てきたレポート類を見ると、皆けっこうちゃんとまとめているので、心の底から安心した。ちょくちょく小さなまちがいはあるが、おおむね皆私の話を正しく理解しているとわかって、本当にほっとした。これが私にとって唯一信頼できる授業評価だ。

◇家が極限まで散らかってきたし、作っていたおかずは、ほぼ食べ上げてしまったし、明日はしっかり家事にはげまないとなあ。

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カツジ猫