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羽根布団。

◇クローゼットを占領していた古い毛布やふとんを、ご近所の方にもらっていただいた時、叔母が遺したふわっふわの羽根布団を自分で使おうとベッドにかけた。(さっそくその上にカツジ猫が食べ過ぎたエサを吐いて、青くなったけど、ふいたら一応きれいになった。)
すごく快適ではあるんだけど、あんまりふわふわで、やわらかなので、ベッドメイキングをしても何だかぴしっとしないのが気にはなる。ちょっと上に座ったり、寝ころがったりしても、くぼみがついて、何となく寝乱れた感じになってしまうのだ。超ぜいたくな悩みではある。

ちなみに、これは少し前、まだ羽根布団じゃなくて薄青い綿のカバーをかけていた時、カツジ猫が浮かれてぽんぽんぽんと廊下の椅子に飛んで行ったとき、雪の上みたいについた足跡が面白くて、つい写真にとった画像。今彼は庭から帰って私がいるのを確認しに、にゃあと鳴いてやって来ましたが、今日はお天気がいいので、さわると背中がぽかぽかしてました。

◇共謀罪が6日に審議入りすることになったとかで、もうとっさに思ったのは、ああこれでもう私はベッドの上では死ねないなということで。そして、もう亡くなった母やキャラメル猫や愛するものたちを、この世から逃がしておいてよかったなということも。どうせ、半分狂った今の政権は強行採決するだろうし、いったんあんな法律ができたら、もういっさいの抵抗は圧殺抹殺されるだろうし。

「野党がだらしない」と、聞いた風なことを口にする人や番組を見ると、許せないという気になります。そんなこと言うあなたは、この狂気としか思えない政権の暴走をとめるために何をしたのか。人の前で、家族の中で発言したのか、デモに行ったのか署名をしたのか投票に行ったのか票読みをしたのか足を止めてスピーチを聞いたのか通りすがりながらビラを受け取ったのか。そういうことの一つでもしていたなら、まだわかるけど、何もしないで座布団かソファの上にどかっと座ったまま、イライラしているんだったら、もう状況はそんなところはとっくに通り過ぎてるぞと、頭はたいて背中をけっとばしたい。

それにしても公明党の情けなさといったらもう。この人たちの果たした役割は、悪い意味で、本当に大きい。
あれだけ自民党にもバカにされて、いったい何にしがみついてるんでしょう。支持者の人たちをバカにするにもほどがある。まあ、こちらの記事などを見ると、それなりに苦しいところもいろいろとあるようだけれど。

https://twitter.com/sangituyama

◇近松研究所から紀要が送ってきて、濱田啓介先生が、「愛想づかし」について、ていねいで面白い考察をされていた。樋口一葉の作品の解釈に、江戸時代から流れていた、この「愛想づかし」精神というものを知っておく必要があるのではという指摘で、私の「ぬれぎぬ」論にとても役に立つ資料である。
教育大の沼尻先生が教えて下さった、林田孝和「源氏物語の創意」の中の濡れ衣の考察も読んだ。平安時代の文学に濡れ衣はあまりないと私は言ってきたので、ちょっとどきどきしながら本を買ったのだが、これは「濡れ衣」の語源についての考察で、ほっとした。というか、これまためちゃくちゃ参考になった。「濡れ衣」の語はもともと冤罪とかじゃなく、みそぎをする、穢れをはらうという意味だったのではないか、それがどうして変わって行ったのか気になっているということで、これまた資料に使えそうだ。

菱岡憲司氏から、新刊の「小津久足紀行集(三)」をもらう。急逝された高倉先生の絶筆ではないかと思う、渾身の行き届いた解説を読みながら、久足の例によってゆうゆうたる「ヘンリ・ライクロフトの私記」風の文章を楽しむ。菱岡君と言えば、この春から山口の大学に就職して九州を離れる。先日来てくれて、夜になって車で帰るというので、私が玄関で冗談に「気をつけなさいよ、海外ドラマとかでよくあるのよ、何もかもうまく行ってヒロインとの結婚式に向かうべく、幸福の絶頂で車とばしていた恋人の男性が、自動車事故で突然死ぬとかさ」というと、彼は久足もかくやというような余裕で鼻で笑って「つまらん展開ですね。そんな安っぽいドラマを演じないようにします」と豪語して帰って行ったが、この本を送ってくれたということは、無事着いて無事に過ごしているんだろう。

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カツジ猫