腹の立つ夜
◎数日前からまたプールに通いはじめているのですが、さすがにプロ野球日本シリーズ第6戦の昨日の夜は、土曜というのにガラガラでした。8時ごろ、受け付けのお兄さんが「いまソフトバンクが一点入れて2対1になっています」と放送してくれるサービスがありました。(笑)
これは逆転するのかなと思いながら、やはり土曜の夜というのにガラガラのファミレスで食事をし、9時すぎてもお客が増える様子もないので、逆転優勝してテレビの特番でも皆見ているのかと思って帰ったら、中日が逃げ切っていました。
まあ、あの勝利の女神の恋人のような長谷川選手のバント失敗併殺なら、それはもうあきらめるしかないなと思いながらも、ついがっかりした自分に、いつからソフトバンクのファンになったんだと我ながら驚きました。
私は名古屋にも数年いたので、夜のテレビのドラゴンズコーナーで、担当の女子アナウンサーがその日勝ったら赤、負けたら白のユニフォームを着て放送するのも、よく見ていて、なつかしいっちゃあなつかしいのですが、こうなるとそんなことも言っていられないかな。って私が思ったって、それが何になるのかよくわかりませんが。(笑)
◎外猫の黒猫バギイですが、このところ、残り物の魚や古くなりそうな缶詰めなど、少し豪勢な食事を出していたところ、かねて出入りのノラ猫たちがむらがって来たらしく、ずっと見かけなかった大きな白黒猫や、ときどき来るトラ猫の姿を、この数日目撃しました。
そのせいか、バギイはいつにも増して情けない声で朝に夕にエサを催促し、夜中でも私の気配を台所やふろ場に感じると、隣家の庭で大声で鳴きます。
泊まっている大工さんたちにも、もちろん隣りの人にも迷惑なので私は腹を立て、そもそも自分のエサを守れないで、ノラ猫にとられたか提供したか知らないが、そうやって結局は私に負担をかけるという、この図式が許せないと思っていました。
人間関係でもよくあるじゃないですか。自分を大切にしてくれて、犠牲を払ってくれる人があると、それをいいことに、自分に力があるかのような大かんちがいの錯覚をし、他人にいい顔して、あるいはより強いやつの要求に抵抗出来なくて、もらった好意や犠牲を、そっちに与えてしまって、それで我慢してほろびるならまだしも、結局また自分につくしてくれる愛してくれる相手に、その分の犠牲をしいる。
友人関係、家族関係、職場関係、そういうことが実に多い。
曽野綾子さんだかが、開発途上国の援助の際に、その与えた相手にしか使わせない、ということが重要と述べていたのが、冷たいようでもむべなるかなと思ったり、しかしまた、以前、犬鳴峠で暴走族に無残に殺された若者は、「ばあちゃんが買ってくれた車」を貸せないとがんばったからで、ああなるのも逆に切ないなあと思ったり。
しかし、いずれにしても、自分は人からのほどこしで、やっと何とかやっている身というのを忘れて、自分が強くて豊かな気になって、他者へほどこしをして、自分に与えてくれる人にどこまでも要求するのは、どう考えても身の程知らずの思い上がり、人におんぶした見栄っ張りだと、昨夜から火のように怒っていたのですが、今朝見るとエサのそばのコンクリートに少し血のあとがあって、バギイはノラ猫と争って怪我でもしたのかと心配になり、エサをやりながら呼んでみたら、来るには来ましたが、なでようとすると逃げて行きました。
走っていたから大丈夫とは思いますが、ふだんは抱かせるしなでさせるので、やっぱり何か恐い思いをしているのかもしれません。
まあ、ぎりぎり一回でこいつが食べられる分だけのエサを与えて、あとは飢えさせておくしかないのでしょうね。当分は。