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豹変。

◇広島カープの優勝で、どこも大いにわいている。今日は宗像市議候補の共産党の植木さんの事務所開きで、私もあいさつしてきたが、植木さんも「市議として活動し始めて25年、カープ優勝の年からです」とか挨拶してた(笑)。

ラジオで、カープの話題で、歌手の角川博さんがカープファンで「広島ストーリー」という歌を発売すると言って、曲を流していたが、歌詞が何となく原爆からの復興も思わせる内容で、よい歌だった。
8月に紹介し忘れたけど、こんな「たて書き」番組予告欄の伝統もあるらしいからなあ。

http://withnews.jp/article/f0160806003qq000000000000000W00b10101qq000013789A

ネットでもいろんな喜びの声があふれているが、個人的に受けたのは、この記事でした(笑)。

赤ちゃん金魚のはるの(45kop)@siobana_h 9月10日

昔、語り部のお爺さんから被爆体験を聞く機会があって、個人的な政治思想とかを感じさせないように本当に注意しつつ、できる限り見たままを淡々と話そうって配慮してるのが分かる感じだったんですけど、話が終わって雑談になって野球の話になったとたん過激な広島カープファンに豹変したの思い出す。
◇この前もちょっと書いたんだけど、「戦争と文学」全集の「ヒロシマ・ナガサキ」の巻に収められた短編が皆すごい。いや、このシリーズ全部の巻がそれぞれすごいんだけど、日清・日露にしても太平洋戦争にしても、戦争と言ったらやっぱりどうしても時間的空間的にある程度、範囲が広いから、いろんな様相も描写もそれだけ多彩になるし幅がある。原爆投下というのは、本当に限られた一瞬から数日の短期間で、場所もそれぞれ一つの都市というとても狭い範囲にすぎない。その中で数十万人の人たちが言ってみれば、同じ体験をしたわけで、すごく見たもの聞いたもの感じたものが凝縮されていて、しかもそれが、ものにみごとにいろいろと皆ちがう。人間の生や死が、人の数だけあるということが実感としてたたきつけられる。それも兵士ではなく市民の、生活の場でのことだ。これだけの大勢の証言が残っているというのもなかなか例がないのではないのだろうか。
そして文学者たちが同じ体験を描いても、もう川上宗薫はあくまでも川上宗薫で、井上光晴はどこまでも井上光晴で、そういう、いろんな作家のいろんな目と手を通して再現された原爆投下の実態が、ものすごくいろんな観点からまるで3D的にこちらに迫ってくるのですよ。後藤みな子「炭塵の降る町」という作品もすごかったなあ。長崎で被爆して、全身やけどでふくれあがって死んだ兄、それを見て狂った母、戦地から帰って「私たちを捨てて戦争に行った」と妹から責められる父(そりゃあないよなあ、といくら私でもつくづく思う気の毒さだ)、昭和天皇行幸の日に何事もないよう刑事から見張られていたのに、派手な着物を装って化粧をしてかけ出す母、最後に母に代わって何をしたいのかもわからず、行幸の列を追って走りつづける妹、もうすべてがすごすぎて笑っちゃうほど救いがなくてすさまじいのが、いっそ爽快なぐらいです。
◇私は必ずしも、こういう深刻な暗い戦争文学が好きなわけでもなくて、田口ランディ「被爆のマリア」の中の短編でも、まあどれも好きなんだけど、一番最初の、のほほん、のんべんだらりとした「永遠の火」が実は一番好きなんだよなあ。ちょっと変わった、でもごく普通のお父さんがひょんなことからなぜか「原爆の火」を仏壇で守っていて、結婚が決まった娘に式のキャンドルサービスに、その火を使っちゃどうかと言い、現代の若者で、フツーの結婚式をしたい娘は、そんな重い式にしたくないと抵抗し、でも夫になるこれも今風の若者の両親は教師で、感激して、それはぜひ、とか言い出して、みたいな、ほのぼのと幸福でのどかなお話。でもどこか悲しくて鋭くて真剣でけなげで。こういう風に戦争や原爆を語れたらいいなあと思う。何度読んでも大好きだ。田口さんは「ヒロシマ・ナガサキ」の巻に収録された「似島めぐり」は「被爆のマリア」にも入れてないのに作者としてはちょっと意外だ、と書いておられたけど、それだったら「永遠の火」を入れてほしかったなあとも思う。
でも「炭塵の降る町」みたいな、どろどろで救いのないどっしりと濃厚な作品を、いくつもたてつづけに読んでると、これはこれで、はまる。もう恐いもの見たさというのか、目を離せないし、そらせない。すごく重くて熱いものを両腕に抱かされたような充実感と疲労感が、トレーニングの後みたいに気持ちいい。
◇夜は戦争法廃止をめざす市民実行委員会の会議で、今後の活動や、会の組織や名称について話し合った。いろんな議論が出てよかったが、出た意見をふまえて更に検討することになった。
ところで、今朝の植木さんの事務所開きの応援演説で誰かが言ってたことによると、宗像市の参院選の比例区で共産党が自民、民新についで3番目に多く、たしかにたった80票じゃあるんだけど公明党を抜いたのは、福岡県下では北九州の若松区以外はここだけ、というのは知っていたが、自治体としては九州では沖縄以外唯一だそうだ。まあそんな過去の栄光にひたっていてもしょうがないし、その票が今回の市議選で皆共産党に来るというものでもあるまいが、やはり無党派の人たちがアベ政治を倒すためと、必死でビラまき電話かけをした結果だとは確実に思う。
その流れや動きが、これからも途絶えないでほしい。今回の市議選で、共産党も決して楽観はできないのだが、戦争法に反対する生活者ネットや社民党、民新党などの候補にも、何とか議席を獲得させたい。

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カツジ猫