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身体と相談。

◇もうね、しなくちゃならないことはわかりきってるわけで、草取りと片づけです(笑)。
でも、連日のこの暑さじゃ、それを意志の力で強行してたらほんとに死にそう。
で、だましだましやるしかなくて、そうすると、ずぶずぶ怠けてしまう。
うーん、何とかしなければ。

◇友だちから勧められた上橋菜穂子の「守り人」シリーズを読んでる。本屋で文庫本を見るたびに買おうかなと思っていたのだが、面白いので買っちゃおうかな。友だちは二冊貸してくれているのだけど。

◇DVDの「パーソン・オブ・インタレスト」、あと二本残っているのだけど、準新作なので、ちょっと高い。つまらんことにけちってる気もするが、旧作になるか、準新作も100円のサービス期間が始まるまで一服して、ただもう暑さしのぎにハワイの警察ものを借りてきて、食事のときだけ、ぼやっと見ている。

「パーソン・オブ・インタレスト」、登場人物は皆好きだし面白いんだけど、悪役になってる監視社会拒絶グループのヴィジュランスとそのリーダーの描き方が、そこらのチンピラグループよりよっぽどアホで画一的で雑だったのが、やけに印象に残ってしまって、どうもいけない。リーダー以外のメンバーはゾンビそこのけの泥人形みたいなモブだし、リーダーも最後のとことんのアホらしさはまだしも、最初に加わってリーダーになるいきさつが、いくら何でもあり得ない。本人がバカだとしても、それでリーダーになれる組織ってのがあり得ない。

◇奥田英朗の文庫本が面白くて、かなり読んでたんだけど、こと学生運動や市民運動に関わる部分になったとたんに、ああこの人こういう運動が嫌いなんだなあ、わかってないんだなあという、ふだんは見えない作者の顔が妙に見えてきてしまって、これがもし、読者へのサービスなら、今の社会でそういうものはそんなに嫌われているのかしらと、別の方向に頭が行って楽しめなくなったのを思い出す。

両者とも、女性の扱いなんかは、とてもしっくり来て苦になるところはなくて、昔、石坂洋次郎をはじめ、あらゆる青春小説を読むたびに、女性の描き方がいやで、他の面白さを味わうために、ひっきりなしに、そのいやな要素を味わう苦痛を感じざるを得ないという、倒錯した体験をずっと続けて来たのを思い出すと雲泥どころじゃないすばらしさなのだが、今度はそれと同じように、集団の抵抗組織の扱い方が、そこだけちがった安い部品を使ってるようで、気になってしかたがない。

◇政治的なものに限らず、たとえ町内会でも、いろんな人が集まって何かをし、リーダーを決めて行くとき、そこには予測できないダイナミックな展開が続く。それを少しでも体験していると、そういうものを描くときの、薄さや嘘さに気づいてしまう。図式化や単純化はいいのだ。それをどれだけ複雑な現実をもとに作っているかが問題だ。
そして、そのあたりが怪しいと感じると、その他の部分、私が知らない会社や企業や親子やギャング団や、そういったもののすべてが、知ってる人から見たら「うそー、あり得ない」と感じるものなのかなと思ってしまって、それをある程度は真実と、自分が信じこむのがいやになる。

テロ組織も含めて(含めちゃいけないかもしれないが)抵抗組織や市民運動について、実態も思想も個人も研究されてないのだろうなと思うし、そんなんでテロ対策大丈夫かと、見当はずれな心配までついしたくなる。世の中に不満を抱く者の怒り、集まって戦おうとするまでの混乱、個人の安楽を犠牲にして何かをめざそうとする決意、そういうものを理解しない文学って、ファンタジーでもリアルでも読んでるときつく、主人公たちの深刻さをどこかで共有できないのだ。

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カツジ猫