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返し縫い

当然ながら、毎日あれこれ何かしていて、それを日記やブログに書いてると、結局二倍時間がかかる。あーあ。その代わり、お裁縫の返し縫いをしてるように、いろんな何でもないことが、記憶や記録に刻み込まれる。今の政府は記録をばかすか捨ててるらしいから、この時期の日本はいろんな意味で空白の時代になるんだろうが、その補充にはなるわけないにせよ、せめて私は、くだらんことの数々でも、せっせと書きとめといちゃろうと思う。おっと、そうは言っても、ここに書く以外のこともいろいろしてはいるんですけどね。そこは皆さま、どうか誤解のあらせられませんように(笑)。

海外ドラマ「ハワイファイブオー」シーズン8のDVDを注文しようか迷ってる。登場人物は皆好きなのだが、中でも好きなチン(どーでもいいけど、西武の源田選手がときどきちょっと似てる気がする。笑)とコノがこのシーズンからはいなくなるしなあ。

気軽に流し見るにいいだけでなく、妙に勉強になる時もある。少し前の回では少女たちの人身売買をして売春をさせてる犯罪組織に、コノがものすごく怒って「警官は感情に左右されてはだめよね」と反省しながら、情緒不安定なぐらいに犯人を挑発してボコボコにしていた。他の男性メンバーも彼女の状態を気づかって心配はしても、その怒りは決して否定せず「当然だ」「正しい」と口や態度で明確に認めて、全面的に支援していた。

レイプはもちろん、まだ未成年の少女たちを脅迫して売春をさせる、また客としてそれを買う人々への、まったく容赦もクソもない激しい怒りが当然のものとして、そこにはあった。番組制作者はもちろん、視聴者や社会全体、公式のマスメディアにとって、そのことはまったくの常識として定着しているのが感じられた。たとえば、しばしば同じように犯罪にからむ銃規制についての問題のように、メンバーが議論をかわしたりして結論を出さないといった姿勢が、この少女売春については皆無だった。

私は全然自分のことを愛国者だとか思ってないが、とっさにそれを見たときに、「これって、やばくね?」と愛国者みたいなことを思ったのだ。言わずと知れた慰安婦問題のことだけど、少女像を撤去しろとか、あれは国や軍のしたこっちゃないとか、いろいろ議論するのはまあいいとして、少なくともアメリカでは(多分欧米でも)、「少女に売春をさせること」について、これほどの嫌悪感やら否定的感情があることを、日本人はどれだけ理解して実感しているのかなあ?

銃規制の問題でもわかるように、アメリカのこういった感情が全部正しいとは思わない。また実際には少女売春だのレイプだのといった犯罪は頻発してもいるのだろうし、だからこそ、こういうドラマの語り口も生れるのだろう。

ただ、それはそれとして、一定の公的なメディアや普通に健全な市民や知識人の中では、コノの激しい狂的なまでの怒りは容認され、共有されている。決してリベラルなだけではない大衆的娯楽的なドラマでそうだからこそ、私は「日本、この感覚わかってるんか? 知らないで行動や発言やしてたら、ヤバくないか?」と愛国者的に心配したのだ。

慰安婦問題について、私はもちろん許しがたいし、少女像なんか自分の家の庭にでも作りたいぐらいだ。だがしかし、そんな私でさえ、これだけの「少女に売春させること」のおぞましさをちゃんと感じていたかというと怪しいし、正直ネトウヨやら保守派やら政府やらはもちろん、いわゆる慰安婦問題を追求するリベラルな人たちの中にさえ、私はこれほどの熱い嫌悪感や怒りや軽蔑や憎悪を見たことがある気がしない。

それをいきなり持てとは言わない。しかし、そういう感覚で世界は動いているのかもしれないということは、少し推測して、この件を考えた方がいろいろややこしくならないですむのではと切実に思った。

いやー、だからさ、しょうもない海外ドラマもなかなかあなどれないのだよ。

レモネードとかいう名の豪勢なひまわりが、そろそろ終わったので、最後の最後にカップや小瓶に入れてながめてる。回りが茶色に枯れてるのが、まるでお菓子か花火のようだ。

 

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カツジ猫