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「水の王子」通信(78)

イラストを描いていると、自分が漠然と描いていたイメージとは必ずしも一致せず、思いがけない人物が生まれて驚くことがあります。これはタケミナカタのつもりで描いていたのですが、こんな外見と予想したことはありませんでした(もっと、ぽかんと明るい感じと思っていた。笑)。またちがったイメージで描くこともあるかもしれません。でも見ていると、こういう感じでもいいのかなと思ったりしてしまいます。他の人物もそうですが、絵で描いてみると、文章だけで知っていた人が思いがけずちがうかたちで現れて来て、衝撃を受けるとともに、妙にうれしくなることもあります。

タケミナカタは日本神話ではオオクニヌシの息子の一人です。父の支配するナカツクニをタカマガハラが併合?しようとしたときに、温厚に受け入れた父や弟?のコトシロヌシとちがって激しく対抗して争い、タカマガハラの戦士タケミカヅチと戦って敗北し、以後は登場して来ません。

私のこの物語では、彼はそういう武闘派ではなく、タカマガハラと対決もせず、ただ、戦っても何をしても非の打ち所ない、見た目も立派な美丈夫で、性格もおおらかで前向きで、オオクニヌシの後をついで村の長になることを皆から期待されていたのに、冒険を求めて村から出て行ってしまって、今は誰もどこにいるか知らないということになっています。だから冒頭ですでにいません(笑)。

ただ、同様に村を出た妹のシタテルヒメもそうですが、彼も存在しないのに、この物語でとんでもないほど大きな役割を果たしています。とりわけ、シタテルヒメとタカヒコネにとっては。

また、この兄妹は、村を出てからあちこちをめぐって活躍や冒険をして逸話もたくさん残しているはずで、今後、続編や復編を描くとしたら、もう私が二回や三回生きても書ききれないほど、題材にはこと欠きません。

彼の明るさ、のんきさ、まっとうさ、賢さ、強さ、その他は、プロ野球ファンの読者に言わせると「ホークスの柳田みたいな感じですか」とのこと。それも悪くはありませんが、実のところ、私が最も彼のモデルとしたのは、二十年ほど前に死んだ私の愛猫キャラメルなんですよね。

ところで、電子書籍の販売ページでは自分で評価1をつけましたが、あれはあくまでアマゾンさんのシステムの不備による表示に対しての評価であり、作品に対しては評価5でも足りないと思っています(笑)。ですので、どうぞ、皆さまにはご購入を心からお願いします。表示の不備にはむかつきますが、スマホではまったく問題ないし、読んでいただけたら、ひたすら嬉しいです。

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カツジ猫