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フィジカルと千早くん

先日「忘却バッテリー」のアニメについて書いたとき、主人公格の一人千早瞬平くんの名前の字をまちがえてた。
 おわびついでに無駄話。
 本当に無駄話です(笑)。

千早くんは、俊足の技能派で、高校の野球チームでは重要な存在です。ただ、野球選手としてはやや小柄なのを自分で苦にして、中学時代は体重を増やそうと必死で過食したり、結局それで限界や嫉妬を感じたのが自分でいやになり、一時野球をやめたりしていました。

他のメンバーと同様に基本的には優しくてまじめです。しかし、頭が良くて成績も良く、裕福な家の一人息子で、音楽や服装その他の趣味も本格的で、孤独を好み秘密主義のわりには、口が悪くて意地悪で、プレースタイルでも私生活でも自他ともに性格の悪さが特徴として認知されています(笑)。公式サイトの人気投票では二位になるぐらい人気があって、すきがないようで、ときどき間が抜けているところも好かれる理由のひとつです。

食べても食べても死ぬほど練習しても太らないし、筋肉もつかないのが悩みですが、プライド高いから劣等感など見せないし、誰もそこには気づいていません。中学時代に同じシニアのチームにいた巻田くんが、自分の身長体重を無邪気に自慢してかまって来るので、いやがって彼を避けまくっています。

もともとシニアの他のメンバーともつきあいがなく、友人はできなかったがどうでもよかったと思っていたのですが、高校のチームでは否応無しの事情もあって、仲間とはあくまで距離は保ちつつも、かなり深くつきあっています。実はシニアの仲間たちも彼に憧れて好きだったし、巻田くんなどは、実は彼を大好きだと、周囲もよく知っています。

なのに巻田は徹底的に拒否され、同じ高校チームの一見似たような荒っぽくて単純な藤堂くんのことは、むしろ自分からかまって楽しんでいたりするので、その差は何かと誰かがファンサイトで書いていて、それは私も説明できないのですが、ただなぜか非常に理由がよくわかります(むちゃくちゃやね)。ここが「アナと雪の女王」との決定的なちがいですよね(私もしつこい)。

こんなこと書いてたら、きりがないので、当面、彼が気にしている身長のことに話をしぼります。
 彼が自分でも言ってるように、その身長は167cmですから、一般的には低い方でもありません。ただ、彼がめざしていたプロの野球選手となると、「小柄な人でも174cmだから、自分とはとても差がある」という分析になる(頭が良いだけに、すぐ分析しちゃう)。

つい、こちらも気になって、千早くんと似たタイプの実際のプロ野球選手の身長をチェックしてみたら、なるほど何となく俊足小柄と思っていた人たち、全然小柄じゃなかったわー(笑)。

五十幡亮太(日ハム) 171cm
 近本光司(阪神) 171cm

はまだいいとして、

周東佑京(ソフトバンク) 180cm
 和田康士朗(ロッテ) 185cm

って、そりゃ何よ~、千早くんが絶望するはずだわ。

地元のチームだからホークス関係のニュースはわりとよく入る。たしかに周東選手はチームの中にいるときはどうかすると小柄にさえ見える(柳田悠岐選手と並ぶのが多いせいもあるか)が単体?で番組に出たりすると、アナウンサーとの身長差にぶったまげる。最近彼のファンサイトでは、写真もコメントも何だか野球選手とかより長身美形のモデル扱いされていて、まあ言動行動をかいまみる限り、めちゃくちゃ堅実でまともな人のようだから、もてはやされすぎて足を取られる心配はないだろうが、それでも大丈夫だろうかと、いらん心配をしたくなる。
 他の選手たちも大なり小なりそうなのだろう。そういう人気もちゃんと受け入れつつ、しっかり管理して行くことが野球に限らずスポーツ選手には大切な能力なのだろう。

千早くんの話に戻る。というより私自身の身長の話に移る。私の身長はずっと154cmで、もちろん小柄な方に属する。ところが、実はこれって、小学一年生のときからそうで、それ以来変わってないのだ。
 当然、新入生のときから、男女通してクラスで一番背が高かった。もうひとり、ほぼ私と同じか、ちょっとだけ高い女子がいて、先生はいつも二人を並べては「こっちかなあ」と迷いながら彼女を一番後ろに並ばせた。私はずっと座席でも列でも「後ろから二番目」が普通で、そのことを別に残念にも得意にも思わなかった。

これ以後のことを書くのが実は少々心配で、心理学者や何かに言わせたら、ものすごい私の病理が指摘されるかも知れない(笑)。
 当然、子どもの身長はどんどん伸びる。男子はもちろん女子だって。中学に入るころには多分私は何人もに追い越されてたし、高校になったら、どこかでいつの間にか、普通から小柄な方になっていたと思う。

でも、その間の記憶が全然ない。実は今でも欠落している。つまり私は、この今でさえ、男女を問わず、誰よりも自分は背が高いという意識がまるで消えない。こんなの私だけかしら。一度でも人より背が高い時期があった人には共通する感覚なのかしら。

私は小学校のころ、男女を問わず同級生と顔をまともに見合わせたことがないのだ。記憶に残っているのは、級友たちの頭の上のつむじばっかりだ。いやマジで、いつだって、人を上から見下ろしていた。群衆の中にいても、今でさえ、何だかそういう感覚が残ってしまって、頭一つ周囲から抜け出ているような気分でいつも生きている。

大人になってから知り合ったある人に、しばらくつきあった後で「あなたは実際より背が高く見える」と手紙で言われたことがある。そのときも嬉しいとか言うより「え、そうじゃないの?」と思ったぐらい、人より当たり前に背が高いつもりでいた。実際には私より背の高い人を見上げて話していても、全然相手の方が高いという意識がない。

むなかた九条の会で、憲法や平和について講演会を催したことが何度かある。大きなホールで、ものすごく有名な立派な方に講演していただいたこともあった。そんな時、若い男性と二人で司会をつとめたことがあり、開演前に講師にごあいさつに行ったら、遠くにその方が立って誰かと談笑しているのを見た、その若い男性が、ちょっとびっくりしたように「小さいんですね」と言った。
 その講師は別に特に小柄な方じゃなかったが、若い男性の方はけっこう背が高かった。多分あまりに有名な人だったから、彼の頭の中では自分より背が高い偉丈夫だというイメージがどこかであったのかもしれない。どんな意味でもルッキズムとは無縁のような彼だったから、私はそのとき、あれと思って、ちょっとおかしかった。

そういう感覚が、いろんな時には人にはあって、ひょいと顔をのぞかせるのだろう。私もどこかで、小さい人なんだなと思われたりしているのかしら。
 私が一番好きだった飼い猫のキャラメルは、賢くて強い立派な猫だったが、その彼も一度玄関の郵便受けから出ようとあがいていたことがあったから、自分のサイズなんて、猫にも人間にもめったに把握できないものなのかもしれない。

こんなアホな話を書いてたらきりがないので、いいかげんに朝ごはんにしよう。猫にはちゃんとエサをやったのだが、もう忘れていて、きっとおかずをわけろと催促して来るんだろうな。ああ。彼の長命の表彰状は、ちゃんと部屋の一番いいところに、かけかえてやったのに。

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カツジ猫